毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

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こんばんは。くわないです。
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なんと今日見たら当ブログのアクセス数が一万越えをしていました。
一日のアクセス数は平均20~60くらいなのがじりじりと増えた結果こうなりました。
それは何故か。言うまでもなく東方小説のおかげですね。
毎日「東方小説」で検索をしてこのブログに辿り着く方が多いのでしょう。一時期宵闇の狂気と東方刻奇跡の第一話が「東方小説」で検索したとき上位に来たことがありましたもの。(今は真ん中ぐらい)
まぁ人気も無く活気も無いこの場ですが、俺がやりたいようにやっていきますので。見ている方はこれからもよろしくお願いいたします。

【東方小説】東方刻奇跡 18話「エゴ」

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            第四章 継承するもの




「おかえり早苗。何かあったのかい?」
 香霖堂へ帰宅して早々、霖之助が出迎えてくれた。本来ならばさっきのことを話すべきなのだが――今はどうしても話す気にならない。
「すみません…ちょっと、具合が悪いので…しばらく部屋に篭っています」
 そういって部屋を移動しようとした。霖之助に何か用意するかい、と声をかけられたがいいです、と答えた。部屋に入ってすぐに、早苗は寝床にくるまった。
 二度も救えなかった。何も出来なかった。早苗の思考は後悔だけが廻り続けていた。あの時ああしていれば。自分の命を捨てる覚悟で向かっていれば。また何か変わっていたのだろうか――。最早自分自身を咎める気にもならなかった。
 エゴ。エゴイズム。早苗が今考えていることはエゴなのか?助けようとすることは、いけないことなのか?幾ら考えてもまとまらない。神奈子や諏訪子がいないとこんなにも自分は弱いのか――早苗は自虐的に笑みを浮かべた。早苗はまだ幼すぎたのだ。
「早苗、どうしたんだ?そんなに悪い病気でもかかったのか?私でよかったら力になるぜ?」
 何時間経っただろうか、いつまで経っても出てこないからさすがに様子がおかしいと思ったらしく、魔理沙が扉の前にやってきた。堪えていたものが崩れ去った気がした。今はそんな言葉さえ愛おしい。早苗は扉ごしから、感情を抑えきれずに叫んだ。
「私はどうしたらいいんですか!!大変な状況の物事を目前にして、何も出来ない!!周りに流され行動したら、残酷な結末しか残らない…!!こんななら、もう私がやりたいように行動してやる…エゴがなんだ!私は…わたしは…っ」
 とうとう抑えきれずに涙が零れ始め、うああぁあぁ、と嗚咽が漏れた。その間、魔理沙は何も言わなかった。呆れて立ち去ったのだろうか。すると、扉ごしから声。
「早苗。それじゃあ駄目なんだ。自分自身だけ満足出来ても、当事者は満足するとは限らない。エゴなんてそんなもんさ。自分勝手に行動したらそれこそ、もっと残酷なことになっていたかもしれない…」
 ・・・。冷静さに欠けていた。そうだ。その通りじゃないか。尤も、冷静に物事を分析出来ればまた変わってくるだろうが――早苗にそんな自信はない。
「それに、今お前には守矢を復活させるっていう大事な目的があるだろう?他人のことばかり気にしてる余裕なんかないって!深く悲しんでる暇があるなら、目的へ進む!!」
 その言葉がついこないだ想起した神奈子の言ったことと重なった。そう――そうだ。こないだ同じことを考えたばかりじゃないか。何を私は悲しんでいたんだ――。
 がちゃり、と扉が開く音がした。魔理沙が部屋へ入ってきたのだ。
「さあ、叫んで気持ちがすっきりしたろ?涙を拭いて、これからも一緒に頑張ろうぜ!」
 そして魔理沙は手を伸ばしてきた。早苗はその手を掴もうとした。――が、突如聞こえた叫び声によりそれは遮られた。
「…!?今の声、香霖か!?早苗、行くぞ!」
 魔理沙は一目散に部屋を飛び出し、早苗も後を追った。






 いつもの商品置き場に辿り着くと、膝をつく霖之助がいた。その隣には――いつぞやの正体不明とかなんとかのエイリアン――封獣ぬえ。何故ぬえがこんなところに?魔理沙霖之助に駆け寄ると霖之助の身体をゆすった。
「香霖!香霖!大丈夫か!何があったんだ!?」
 返事はない。意識はあるようだが、まるで人形のように動かない。そこでぬえが一言喋りだした。






「話しかけても無駄だよ。そいつの記憶を封印――正体不明にしたから」






To be continued…

【東方小説】東方刻奇跡 17話「Fairy's Requiem」

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 怒りに任せてチルノが襲い掛かってくる。理由があるのは明白なのだが――そんなことを聞いている余裕はない。今、早苗に出来る事は悔しいことに何もない。余計に手を出せば邪魔になってしまう可能性がある。サポートと大妖精の考えている策が効くことを祈るだけだ。
 現状把握をしよう。まず、今いる玉座の間はチルノの攻撃により既にボロボロだ。一方大妖精はというと、一切攻撃はせずにチルノからの攻撃を受け流している。妖精でもあんな動きが出来るものなのか。――いや、恐らくこの状態のチルノを知っているようなのだから攻撃は知り尽くしているのだろうが――それでも凄い。
 すると、チルノは小さく尖った氷を無数に放った。なんだか「アイシクルフォール」を想起させるようなものだ。それを見た大妖精が小さく笑い、その無数の弾幕の中に突撃した。そして間を素早く移動しチルノの横を通り過ぎた。
「あの時から変わってないね…チルノちゃん!一定の軌道を通れば無傷で通れるのが一緒!!増してそれをよく知っている私に撃つなんて…まるで本物の『馬鹿』みたいだね!妖精の頃が長かったから一緒に馬鹿になっちゃったのかな?」
 そしてとにかく煽る。その大妖精の様子を見ていると、なんだかチルノのようだ。大妖精にもきっと普通の妖精らしい仕草の時があったと推測すると、その名残だろうか。その言葉に更にチルノは激しく激昂しそして、
「なめるなっ…うおおおぉぉぉぉぉおぉぉ!!!!」
 気合とともに四方八方に弾幕。なるほど。これは「パーフェクトフリーズ」だな。さっきの「アイシクルフォール」の時もそうだが、妖精の時と比べるととてつもなく強化されているようだ。封印前のチルノ――そして、その妖怪であったチルノの母親はどれほどの力の持ち主だったのだろう?と、ここで早苗は違和感を感じた。
 ――そんなに強大ならば話題を聞いてもおかしくないのではないか?なのに今まで全く聞いたことがない。何故だ――?
 それも大妖精が知っているような気がした。尤も、今は聞けないのは解っているが。その大妖精はパーフェクトフリーズをグレイズしながら避けていた。さすがにこれは癖みたいなものは無いらしい。すると今度はチルノがにやりと笑い、指を鳴らした。
「ふふ…あの時のままだと思ったら大間違いよ!」
 その瞬間、分散していた弾幕が破裂し、更に細かい弾幕が無数に広がっていった。それを見た大妖精は驚愕の表情を浮かべるが、すぐに回避しようと行動に出る。やはり完全に回避するのは容易ではないらしく、さっきよりもグレイズが増えてしまっていた。直撃しないだけまだマシか――と早苗が胸を撫で下ろしていると。
「く…?!あぁ…っ!」
 突如大妖精が呻き声をあげた。見ると、更に分散した弾幕弾幕同士が糸で繋がりあい、大妖精の身体を締め付けていた。それを確認したチルノが勝利を確信したように笑みを浮かべ、笑い出した。しかし涙がぽろぽろと零れ出ていた。
「あは、あははははは、あははははは…!!これで終わりにしてあげる!初めにあなたを私が討つ…!!」
 そして右手に氷で出来た大剣を作り出し、確かめるように一振りしてからそれを後ろに構えて大妖精に向かっていった。
 まずい!
 早苗は一目散に走り出そうとした。
「早苗さん止まって!」
 大妖精が叫ぶ声に、早苗は止まってしまった。大妖精の顔を見ると、これでいいんです、と伝えているように見えた。
 どうして――と問う間もなく、チルノの大剣が大妖精の腹部を貫いた。
 ――――――!!!
 早苗は言葉を失った。なんて、むごい――。
 すると、チルノは涙を流しながらもさっきとは違う恍惚の笑みを浮かべ、舌を捲くし立てて喋りだした。
「やった…やったよ!やったよお母さん!!倒した!!殺した!!最初の恨みを晴らしたよ!!これが復讐の第一歩になるんだ!あははははははははははははははははははは!!!」
 チルノのその様子は、最早何がなんだか解らなくなっているように見えた。チルノが余裕を見せていると、その体勢のまま大妖精はチルノを強く抱きしめた。チルノは小さく呻き声を上げて大妖精のほうを見た。大妖精は悟ったような笑みを浮かべながらゆっくり喋りだした。
チルノちゃん、一つ忘れているね…妖精は死なないんだよ…幻想郷がある限りずっと…」
 それを聞いたチルノは激しく抵抗するが、大妖精は微動だにしない。
「構わない!復讐が終われば、幻想郷ごと壊してやる!!そして私もお母さんのところへ行くんだ!!」
 大妖精はかぶりを振る。
「…幻想郷はそんなに脆いところじゃないよ。博麗の巫女に退治されちゃうんだ。尤も…私が人柱力になって一緒に封印することになるけどね」
 ―――!?
 早苗はその言葉を聞き逃さなかった。人柱力?一緒に封印?まさか――!!さっき大妖精が言いかけた言葉はそれか!早苗は止めに入ろうと走り出した。
 すると、大妖精とチルノはそのまま急上昇し、天井を突き抜けた。早苗も飛び、それを追った。












 晴れ渡る大空の中で、大妖精はチルノを抱きしめたまま告げた。
「ごめんね、チルノちゃん。本当に……」
 その間もチルノは激しく抵抗するが、大妖精の腹部に突き刺さった大剣から手を離すことが出来なかった。手には、大妖精の身体を縛っている糸。自分の罠に自分でかかってしまったのだ。
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 しばらく上昇した後に、勢い良く急降下して城へ突撃した。その時に起こった風に巻き込まれ、早苗は湖の外側へ放り出された。
 城を突き抜け、湖の奥深く、更に奥深くへと潜っていく――やがて動きを止めると、大妖精はチルノを抱きしめる力を強め、大きく言葉を発した。






 ――女王から説明された、チルノちゃん…そして城の封印の仕方。それはチルノちゃんを強く抱きしめて、そして一言――






「…鎮魂歌(レクイエム)」






 その言葉を発した瞬間、城が湖の中へと埋まっていった。――二人が戻ってくることは、なかった。





  ――チルノちゃん…ずっと、いつまでもここで静かに一緒にいようね……永遠をかけて、罪を償うから――

















 早苗は、呆気を取られているだけだった。ふと我に返って、湖を模索する。しかし、城やチルノ、大妖精がいた様子は全く無かった。まるで最初から無かったかのように。
 それが理解できると、早苗はまた一人立ち尽くした。…何も出来なかった。三人?だけの問題とはいえ――手を伸ばすことすら出来なかった。これもエゴだろうか。諏訪子様、神奈子様……私は、どうしたらいいんですか?
 立ち尽くしていても仕方が無い。早苗は、後ろ髪引かれる想いで香霖堂へと帰った。











 想い背負い、紡ぐ覚悟、私にはあるの?でもね、私、強くなるの、あの人の為に――




To be continued…


あとがき
水中で言葉喋れないだろとか言わないの。いいんだよ幻想郷だから。
前章と同じく、最後の部分はルーネイトエルフのサビと合わせて歌えます。ちょっと難しいかな?にしても歌詞これでよかったかな
それはそうと…思いついたネタを膨らませるんじゃなくて逆に捨てるのも悪くないんじゃないかなぁ、と思いましてね。あまりにも早苗と関係が無い話とか。2章3章で既に早苗空気だったけどそういう話だし
そうすることで物語を簡略化することも出来ますし、やってみようと思います。
さてさて、次なるお話は何かな…?

【東方小説】東方刻奇跡 16話「永い時を経て」

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***-大妖精-****

 チルノちゃんが目覚めちゃった。隠してきたものが無駄になっちゃったな。私は、チルノちゃんに母親を失ったってことを知られたくなかった。絶対に傷つく――そう思って。だから隠してきた。でも…よく考えればあの人の力が無ければこうしてチルノちゃんが目覚めることは無かった。きっとあの時にあの人が遺した力なんだろう――成長したチルノちゃんが、母親を亡くしたという事実を知っても傷つかないように。
 実際、チルノちゃんは妖精ながらもほんのちょっとずつ成長していった。これなら苦しみにも耐えられるはずだ、と横から見ていても思った。そういえば――天狗に取材されている時やお花がたくさん咲いた時…色んな時に、口調が妖怪の頃の『私』に戻っている時があったが、それはやはり妖怪の頃の癖が露わになっているのだろう。
 今、チルノちゃんは目覚めた。そして私に襲い掛かってきた。傷ついている様子は無かったけれど、その分怒りが強まっているようだった。まあ、仕方ないよね。こうなったのは私のせいでもあるんだから――。


 これまでにも何度も想起してきた。何十――何百年前かもしれない、あの時。忘れるわけがない。
 これは、ある二人の哀れな親子のお話――――――







 当時の私は、他の妖精と同じようにただ無邪気にいたずらしたり、遊んだりしていた。凄く楽しかったのは、覚えている。
 ある日、五人くらいのグループになって他の妖精と遊んでいた私は、小さい姿――もちろん、妖精の頃に比べれば十分大きいが――のチルノちゃんを見つけた。見ない顔だ、いたずらしてやろう、そう思った私たちは、チルノちゃんに向かって思いっきり飛礫をうった。するとチルノちゃんはそれをいとも簡単に素早く弾き返し、次に私たちを掴んでは投げ飛ばした。抗うことも許されずに私たちは吹き飛ばされ、木にぶつかった。それを見たチルノちゃんはにい、と笑いこう言った。
「私にいたずらしようなんて良い度胸ね!でも、ちょうどいいわ。あなた達、私の暇つぶしに付き合いなさい!」
 そういうと、チルノちゃんは私たちを引っ張りあげ、無理やり走らされた。後でチルノちゃんが『近くにそびえ立つ氷の城の女王の娘』だと聞いたときは全員でひっくり返ったのは覚えている。
 付き合わされた暇つぶしは、とても暇つぶしとは思えなかった。立て続けにチルノちゃんが投げる岩や木、草を避け続けるというものだった。もちろん、耐えられるはずも無かった。しかし倒れると、チルノちゃんがそばに寄ってきて、
「あらら~?どうしたのかしら?こんなにだらしないなんて妖精としてどうなの?こんなんなのにいたずらしてるなんてなめすぎなんじゃないの~?」
 と全力で煽ってくるのだ。そこまでいわれてはぎゃふんと言わせたい。だから私たちは避け続け、反撃の危機を窺っていた。だが、それでも段々と暇つぶしに付き合う妖精の数が減ってくる。避けて避けて、耐えて耐えて。そんな日が何日か続いた後、やがて私一人になった。私一人だけになってチルノちゃんは怒るかと思ったのに、逆に笑い私にこういった。
「そう、あなた一人だけになったの。じゃ、ここまで耐えたご褒美にお城へ招待してあげるわ!あなた、名前は?」
 名前を問われた。そういえば、妖精には名前を持った妖精は少ない。もちろん、私にも名前は無かった。
「名前が無いのね…じゃあ、解ったわ。私が考えておいてあげるから、今は…そうね、皆より耐えた量が違うから、『大妖精』でいいんじゃない?」
 そう。この時にあだ名という形で今の名前が出来上がった。まさか、現在に至るまで使うことになるとは思ってもいなかったが――。そうして私は城に連れられたが、緊張でただボーっとしていて何があったかあまり覚えていない。ただ、チルノちゃんのお母さんに言われたことは凄く記憶に残っている。
 ――チルノのお友達なの。チルノはあんまりあのおてんばさからかお友達があんまりいなくてねえ…。良かったら、一緒に遊んであげて?――と。
 それを聞いて、私は静かに頷いた。そしてその日から、チルノちゃんとのあわただしい日常が始まった。危ないこともした。面白いこともした。チルノちゃんが来てから、いたずらばかりだった毎日に更に拍車がかかったようになって、本当に楽しかったのだ。
 そんな日が当たり前になってから何ヶ月後に、急にチルノちゃんのお母さんに呼ばれて二人だけで話すことになった。
「私はこれから異変を起こすわ。理由は、チルノに少しでも成長してもらうため。私が退治されて少しの間倒れれば、あの子は一人で頑張らなければならない。そうして、私が復活する頃には幾らか成長出来ているはず、という計画なの。これをするためにあなたに頼みたいことがあるの。紫に私が異変を起こすことを伝えてちょうだい」
 それを聞いた私は戸惑った。チルノちゃんのお母さんは、氷の女王で幻想郷を創った賢者の一人だった。当然紫とも面識があるだろう。戦うことになってもいいのか――だが、チルノちゃんのお母さんはそれよりもチルノちゃんのことを重く捉えているようだった。私は言われるがままに紫にこのことを伝えた。思えばこれをしなければ何も変わらなかったかもしれない。
 案の定異変をとめようと女王に襲い掛かった紫が、戸惑いながらも女王に攻撃を加えているのが見えた。まあ、後で説明してあげればよいだろう――と少し笑いながら思った。チルノちゃんは二人の戦いを影で見守っていた。
 しかしここで誤算があった。
 紫は女王を殺したのだった。紫は賢者ほどの力を持った妖怪が異変を起こしたということを危惧し、苦渋の決断で跡形もなく消し去ることを決意したらしい。普段ならば妖精の言葉など信用しないだろうが――今回ばかりは違ったようだ。ちなみに、チルノちゃんが知っているのはここまでだ。これ以降のことを知っていればまだ何か変わっていただろう――。
 壁に横たわる女王に近寄った私は、掠れた声で発した女王の声を聞き逃さなかった。
「そうね。何も考えず、ただ無邪気に生きてほしいから…これからこの子はお馬鹿と言われるかもしれない。けれどそれは孤独を知るよりはマシ…大妖精ちゃん、あなたにお願い。チルノのそばにいてあげて。」
 そうして女王は最期の力を振り絞って眠らせたチルノを妖精に変え――城を封印し、湖の奥底に沈めた。
 女王の存在は今からも歴史からも葬り去られた。賢者が異変などと知られれば人間の心に何かが芽生えてしまうからだ。天狗は知っているが、誰も話そうとしない。幻想郷に最初からいなかったことになったのだ。
 湖の近くの木に横たわって眠っている妖精になったチルノちゃんを見ながら私は決めた。変わろう。チルノちゃんを助ける為に、いたずらばかりするんじゃなくて。お目付け役になろう。と。
 そうして、チルノちゃんが眼を覚ました。
「ん…んぅ…?あなた、だあれ…?」
 その言葉をきっかけに涙が流れた気がした。さあ、名乗ろう。私の名前を。












  「私は大妖精!よろしくね、チルノちゃん!」







To be continued…

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけましておめでとうございます!あけまして






というわけでね、新年明けました。

2014年――ですか。いいですねえ――

とりあえず今年の目標、大イベントとして今のところ予定されていますのは――








夏コミ参加(予定)


それとオフ会ですね。


ほんとマジ資金集め全力でやらなきゃ( ◜◡‾)
夏コミもそうだけれどオフ会もやっぱり楽しみですしね。某氏の顔も見たいところですし。

貯めなければ…いかん…頑張るぞ…

ではまた。いつか。

【東方小説】東方刻奇跡 15話「記憶は深海の如く」

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***-チルノ-****

 思い出した。全てを。あたいは、いや――は本当は――……




 緑色の巫女に出会って翌日、『あたい』はいつもの通り大ちゃんと遊んでいた。すると湖の奥深くに何か光るものが見えた気がした。
「大ちゃん…あれなんだろ?」
 『あたい』がそういってから大ちゃんにその光を見せると、大ちゃんは身体を大きく硬直させた。不思議に思った『あたい』は、湖に潜ろうとした。大ちゃんは『あたい』を止めようとしたけれど、『あたい』は好奇心で胸がいっぱいになっていて、その言葉など届くはずもなかった。今なら言える、大ちゃんは自分が遠まわしに私のお母さんを殺したっていう事実を隠したかったんだよね。
 それから『あたい』は湖に潜ってその光へと進んでいった。そうして光に触れると、結界が崩れ去って深く沈んでいた城が浮き彫りになった。思えば、その光は最初からあったものなのだ。『あたい』――私を導くために――お母さんが遺したもの。だって、前からスキマ妖怪とかが触ろうとしてたけれど、結界のおかげでこの城は何も無かった。
 その後すぐに緑色の巫女がやってきた。ついでに緑色の巫女も連れて城の中へ入っていった。久しぶりに見た中は――何十、何百年前だか忘れたが――変わっていなかった。だが静かだ。氷の兵士などがたくさんいて、にぎわっていたものだが…皆いなくなってしまっていた。胸が苦しくなる。もちろん、城を歩いている時――『あたい』――はまだ妖精だったから感慨も何も無かったのだが…記憶を取り戻して初めて苦しさを味わった。
 そうして奥へ奥へと進んでいくと、やがてかつてお母さんが座っていた玉座の間に辿り着いた。『あたい』は、そこにあった光にまっすぐ進んでいった。
 この光は結界の光と似てはいるが中身が違う。これは――『あたい』を私に戻すためにお母さんが遺した力。この光は『あたい』を自然に導いていた。何故今更になってその効果が現れるようになったのかは解らない。だが、そんなことはどうでもいい。その光に触れると眩い輝きが辺りを包んだ。すると緑色の巫女が『あたい』――私?――に手を伸ばしてきた。その瞬間、光と風が大きくなり、緑色の巫女を吹き飛ばした。その光と風はまるで共鳴しあい、それとともに私の中へ力が満ちてきた。記憶と力を取り戻し――妖精であった『あたい』はいなくなり、妖怪である私が生まれた。





 そして全てを理解した。辺りの光が収まり、自分の姿が変貌していることが確認できた。そして私は憎しみの心を胸に大妖精へと向かっていった。
 最早私の性格と記憶と想いの強さは、妖精であった頃よりも妖怪であった頃のほうが勝っていた。


 あ、あは、あははははは。妖精だった頃が長かったから、力が物凄く溢れてくるように思えるよ。これなら負けない…。待っててね、お母さん。色んな人にお母さんの恨みを晴らしてあげるから――
 最初にまずは大妖精だ。






To be continued…


あとがき
今年中にチルノ編終わらせたかったんですが冬休みが思ったより忙しくて厳しいです…冬休み終わるまでにはなんとか終わらせたい…。

【東方小説】東方刻奇跡 14話「隠蔽の目覚め」

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 眩い光に早苗は眼を細めながら、その中にいるチルノの存在を確認した。彼女は磔にされているように十字の体勢をしながら何やら苦しみもがいているようだった。
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 するとチルノは大きく眼を見開いた。瞬間、唐突に光の輝きが増し、激しい爆風が襲ってきた。早苗はそれに抗うことすら許されず、光の外へと追い出された。
 なんだ、今のは――!?
 床に叩きつけられた早苗は困惑しながらゆっくりと立ち上がった。横を見ると大妖精が光を見て立ち尽くしているのが見えた。光は、風と重なりあって共鳴しあっているように見えた。まるで、チルノに何かを響かせているかのように。
 やがてそれは収まり、チルノの姿をこの眼にはっきりと焼き付けることが出来た。その姿は――違う。服装こそは同じでも、瞳の模様が大きく変わり、背中の羽が小さい翼を模したような形になっているのが見てとれた。これは妖精というよりは――…だが、そんなことが有り得るのか。
「あ…あ…ああ…っ」
 それを見た大妖精は、力を無くした者のように膝から崩れ落ちた。さっきから一体なんなんだ。何を知っている――?変貌を遂げたチルノは、真っ先にその大妖精を睨んで身構えた。
「あなたが…あなたがお母さんを…!!!」
 うああああああああああぁああぁ、とチルノは雄叫びを上げ、大妖精に向かっていった。大丈夫…さっきの奇跡が効果を表せば…!チルノは大妖精に向かっていく途中、力が抜けたように仰向けに倒れた。
 チルノは驚愕の表情を浮かべていた。何故か効果が出るのが早かったが、きっと詠唱がうまくいったのだ。早苗はさっきチルノに触れたときに微量の奇跡をチルノに使った。力を抑え込む奇跡だ。今のチルノの力量は解らないが、気休め程度にはなるだろう。チルノがもがいている隙に大妖精が気がついたらしく、距離をとった。早苗は大妖精の元へ近づくと、真っ先に疑問を口にした。
「あれは一体何ですか?」
 そう言われた大妖精は、少し抵抗した後にゆっくりと口を開いた。
「…あれは…妖怪です。チルノちゃんは、目覚めたんです。妖精という殻から。あの人の最期の力によって」
 その言葉に早苗は首を傾げた。言ってる意味が解らない。
「けじめをつけます。…いえ、つけなきゃいけないんです。これは私と、チルノちゃんと、あの人――氷の女王の因果なんです!」
 大妖精は手に力を込めると、まだ倒れているチルノを睨みつけて力強い声で言った。氷の女王――?そんなことはこの世界の歴史で聞いたことがない。今ここにいる氷の城と何か関係があるのだろうか。大妖精は深呼吸をすると、さっきとは裏腹に安らいだ声で早苗に話しかけた。
「…私はチルノちゃんの弱点を昔聞いたことがあります。私がそこを突いて――チルノちゃんを封印します。早苗さんはそれを手伝ってくれませんか?」
 その言葉に早苗は頷いた――が、途中の不穏な単語に眉をひそめた。
「封印?…いいのですか?」
 控えめに疑問を聞くと、大妖精は迷いなく頷いた。すると大きな音が鳴り響いた。チルノのほうを見ると少し息を切らしながらこちらを睨みつけていた。既に奇跡の効果は切れたようで、足に力を込めたのか床に大きな窪みが出来ていた。それを見た大妖精は身構えると、早苗に一言だけ言った。
「もうチルノちゃんを妖精にする方法はありません!弱点を突いて、永遠に封印するしかないんです!――………――今のチルノちゃんの力は未知数です!くれぐれも気をつけてください!」
 途中、何かを言いたげにしていたがそれを聞く余裕はなかった。チルノは早苗と大妖精の間に割って入ると、即興で作ったらしい氷の剣を縦に振るった。早苗と大妖精はそれぞれ反対方向へ飛び退り、早苗はサポートの奇跡の詠唱に入った。
 何か…今、大妖精さんの助けになるものは無いか…?!大丈夫、奇跡なのだから大抵のことは出来る。後は焦らないでいるだけ。…そうだ!
 早苗は防御の奇跡を大妖精に向けて放った。これでなんとかなるか…?後は臨機応変に対応していこう。――それと、あまり戦闘には割り込まないでおこう。これは三人?の問題なんだ。もちろん、大妖精さんが危険に晒されれば手助けをするが…それだけだ。
 仕方ない…仕方ないんだ。早苗はそう言い聞かせるしかなかった。




To be continued…