毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 13話「妖精の戯れ」

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 早苗は、氷精の湖へたどり着くと、湖は氷で出来た城により埋まっていた。そういえば魔理沙達に一言言うのを忘れてしまっていたが、仕方が無い。とにかくこれは立派な異変だ。城の入り口付近に眼をやると、チルノと大妖精が城を見上げながら立ち尽くしていた。早苗は二人の元に駆け寄り、話しかけた。
「大丈夫ですか?何かあったんですか?」
 その早苗の声に二人は振り向くと、二人とも驚愕の表情を浮かべていた。しかし、個々それぞれに思うことが違っているようだ。チルノは目の前のことに驚いているように見えるが、大妖精は何か驚きながらも少し苦しそうにしていたように早苗は見えた。するとすぐにチルノが喋りだした。
「あのねあのね!!あたいが湖の奥のほうに何か光って見えるものがあると思って、潜ってそれに触ったらぼーーーんっ!!ってこのでっかいお城が出てきたの!!」
 ははあ…と早苗は思った。一言で要約するならば、チルノはこの湖の秘密を見つけたというわけだ。こんなことが何故今まで隠されていたのだろうか。紫あたりがなんとかしていたのではないだろうか。そんなことを考えながら、大妖精を見た。大妖精の表情は相変わらず曇ったままだった。何か知ってるのか――?
 思考に身を委ねていると、チルノが城の中へ入ろうとした。それを見た早苗が止めに声をかけようとしたが、それよりも先に大妖精が動いていた。
「チルノちゃんっ!!ここは危ない気がするよ!チルノちゃん一人じゃ…!」
 異様に焦った様子の大妖精がそういうが、チルノは首を横に振った。
「いや、行きたいんだ。なんかよくわかんないけど、たんきゅうしん?がくすぐられてるっていうべきなのかな?この気持ちは!どうしてもいきたいの!」
 それを聞いた大妖精が、しばらく考えた後に頷いた。
「…わかったよ、チルノちゃん。でも、私も一緒に行く」
「いいけど、なんか今日の大ちゃん変じゃない?それだけじゃなくて、凄く今更だけど、いつの間にかあたいの隣にいつもいたよね。いつから一緒なのかは思い出せないけど…」
 それを聞いた大妖精が下唇をかみ締めた。
「…それは、約束したからだよ…チルノちゃんと…そして…」
 そこまで言うと、大妖精はかぶりを振りチルノに進むよう促した。早苗は二人が進もうとするのをあわてて追いついた。
「私も行きます。もしかしたら異変かもしれません」
 異変、という言葉に大妖精は肩を震わせた。問いに対する返答は無かったが、暗黙の了解と早苗は解釈した。




 城の中も氷だらけ…まさに氷の城だった。その氷が光を反射しあって、眩しいようで、美しい。それに静かだ。異変だと思っていたから何かイレギュラーな物が――そもそも幻想郷においてのイレギュラーと外の世界に対するイレギュラーは解釈が全く違うのでもしかしたら幻想郷の住民にとってはいつも通りなものかもしれないが――いるかもしれない。
 ただただ進む。しかし、氷の飾りつけ、氷の絨毯、氷の扉、氷の壁、氷の床、氷の鎧、氷の柱、本当にそれだけだった。目の前にあるのは氷だけで、生き物は何もいなかった。生き物がいないとするならば、この城は一体なんなのだ――何のために作られたのだ?
 やがて玉座のようなところへたどり着いた。玉座を凝視すると、小さい光が見えた。
「あ…あの光…さっきも湖の奥で見た…なんだろ、あたい…あれが欲しい気がする…」
 すると虚ろな瞳のチルノが、その小さいな光へとゆっくりと足取りおぼつかないような状態で歩き出した。
「…ッ!!チルノちゃん、駄目ッ!!!」
 それを見た大妖精は大きく飛び出して身体ごとチルノを止めようと試みるが、チルノは大妖精を微塵も見ずに片手で弾いた。早苗は、すかさず動かんとした。事情はよく知らないが、もうこれまでのように繰り返したくはない――!!
 光に包まれかけているチルノの手を掴もうとした。触れた感触がある、このままどこかを掴んで――!
 早苗は光の中へ手を伸ばしていった。





To be continued…

あとがき
これからは一週間に何回かに出来ればいいのだけれど…挿絵が減っちゃうかなあ…頑張ります。

【東方小説】東方刻奇跡 12話「遠い日の思い出」

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 なんだか疲れた。香霖堂へ帰る前に少しだけ休憩しよう。早苗は紅魔館近くの湖に着くと、辺りにある木々の一つに座りかかった。
 早苗は昨日の闘いから今まで激しい狼狽や憔悴をしていたが、必死に抑えた。かつて神奈子に言われたことがあったからだ。
『早苗。これから行く世界は夢や魔法みたいなものがたくさん詰まっている。けれど、そんな世界だからこそ殺人や拷問…もっと残酷なことまで起こるかもしれない――でも、他人のそれを見て深く悲しむのは間違いよ。そんなのは親しい者だけで十分。悲しむよりも前に進むことが重要なのよ。覚悟しなさい』
 その言葉は嘘ではなかった。何故なら、五年前の出来事や昨日の出来事がそれを物語っているからだ。だから覚悟をしていたのに。早苗はあの時動けなかった。昨日の出来事でも――五年前の出来事でも。何も出来なかったのが本当に悔しかった。だがそれを悔やんでばかりでは、神奈子の言うことを守れない――。いつまでも悲しんでちゃ駄目だ。私は私の目標の為に、前に進もう…。




「・・・さなえちゃん!あそぼう?」
 これは何だろう。私は夢を見ているのか。幼稚園の教室の隅で座りながらぼんやりとしていた。とても小さい少女に手を差し伸べられていた。私の思考は、その夢の世界に染まりきった。
『うん!あそぼう!!なにしてあそぼっか?』
 わたしはそのてをとると、むじゃきにわらいたちあがった。このこは、おさななじみのこ。そうだ。わたしはようちえんのころからのだいじなおともだちがいた。いまは、どうしてるだろう。
 でも、おかしいな・・・。どうして、なまえがでてこないのかな。とっても、たいせつな、たいせつな、おともだちなのに。わたしはなにかだいじなことを――忘れている?
 夢の世界で考えている途中で私の意識は徐々に覚醒していった。




            第三章 氷の成長




「さ、さわいじゃだめだよ!チルノちゃん!」
 目覚めると、そんな声が聞こえた。どうやら眠っていたようだった。夢の内容は――なんだったか。なんだかとても大切なことだったような気がする。そんな早苗に気がつくと、目の前の妖精は早苗に少し顔を近づけた。
「大丈夫ですか?よほど疲れていたように見えますけど…」
 目の前にいる妖精――大妖精は、心配しながらそんな声を出してきた。後ろにいるほうの妖精は――チルノか。チルノはそんな大妖精を笑いながら、早苗を見た。
「あはははは!そんなとこで寝てるなんて、馬鹿じゃないのー?」
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 早苗はそのチルノを無視しながら立ち上がった。
「ごめんなさい、迷惑でしたか。すぐに帰りますから、またね」
 そして足早に立ち去った。正直言うと、あまり妖精には関わりたくない。あまり人のことは言えないが――問題の根源といわれているからだ。それに…昨日今日のことを早く魔理沙達に伝えるべきだと感じたからだ。走り去る途中に少しだけ振り返ると、二人の妖精は呆気を取られていた。なんだか申し訳なかったかな。





 翌日、香霖堂で休んでいた早苗は、これからどうするか考えていた。やはり無難に里へ行くのがベストだろうか…?
 ちなみに昨日のことを二人に伝えると、魔理沙は大きく悲しんでいた。霖之助はあまり悲しんだ様子ではなかったが…きっと、神奈子のように弁えがしっかり出来ているのだろう。羨ましいな…。
 そんなことを考えていると、突如地響きが起こった。その音に飛び起き、窓から外を眺めた。すると氷精の湖に大きな城が出来ていた。それを確認した早苗は香霖堂を飛び出した。





To be continued…


あとがき
はい。第三章です。次回は明日かあさってにしたいかなーと思っています。挿絵はつかないかもですが

【東方小説】東方刻奇跡 11話「残響」

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***-レミリア-****

 最近、咲夜の成長が著しい気がする。五年前くらいはそんなに目立った成長は見られなかったのに。いつだったか何年も前にパチェに言われたことがある。
「レミィ。咲夜にはあまり愛情を注がないほうがいいんじゃないかしら?」
 そう言われて下唇をかみ締めた。いや、分かっていたことなのだ。吸血鬼と人間は所詮相容れることなど出来ない――増して咲夜は時を止める能力だ。並大抵の人間よりも老化が微かに早い。それでも、私は咲夜が好きなんだ。好きで好きでしょうがないんだ。
 だから私は、かつて永夜異変の時に咲夜に問いただした。――咲夜も不老不死になってみない?そうすればずっと一緒にいられるよ――と。吸血鬼になれば良いのだ。私にはその力がある。
 しかし咲夜はかぶりを振ってこう言った。――私は一生死ぬ人間ですよ。大丈夫、生きている間は一緒にいますから――と。人間の運命にそのまま身を任せると言ったのだ。咲夜がそういうのなら…と、私は尊重するつもりだった。
 でも、成長していく咲夜を見て私はその時を恐れてしまった。咲夜のことを何度も見るたびに涙が溢れそうになった。しかし精一杯堪えた。ここでそんなことを口に出せば咲夜だって同じような気持ちになるかもしれない――それとも、何か優しい言葉をかけてくれるの?


 ある日の夜、館に守矢とかいう神社の巫女――早苗だったか――がやってきた。
 守矢の事情は五年前の事件で把握していた。五年前の夜、守矢神社から強い光を目撃した鴉天狗は、すぐに神社に訪れその様子のおかしさに違和感を感じたという。中へ入ってみると、赤ん坊の早苗が横たわっているだけで、あとの二人の神様はどこにもいなかったらしい。すぐさま記事にされたそれは、次に『何かしらの理由で幼児化してしまった早苗』を誰か受け持つか。と言った話になった。
 それが決まるのに時間はかからなかった。香霖堂の店主が受け持つことになったようだ。なんでも――僕ら二人の関係のお礼をしたいから――らしい。私にはよくわからなかった。霊夢は、
「これは異変であるような気がするけど、勘がまだ解決できる時ではない、って言ってるわ。実害は無いみたいだし、大丈夫でしょ。ただ一つ、これも勘なんだけど…幼児化はさほど問題にはならないかもしれないわね」
 と言った。確かに、その五年後にこうやって復活しているのだから、問題ではなかった。何故かはわからないが、それは早苗自身が分かっているのであろう。早苗は信仰を求めてやってきたのだった。二人の神様を復活させるためだ。私はそれを強く否定した。だって、関係ないもん。
 咲夜が部屋へやってきて、紅茶を置いてくれた。私はまた堪え、震えた。
 「用がで、出来たら!…もう一度、呼ぶから…部屋でゆっくりしていなさい」
 ああ、また冷たくしてしまった。もう、覚悟を決めなくては。早苗を帰したら、咲夜に謝ろう。そして、最期の時まで楽しく過ごそう。

 そう決めたのに。
 私の妹はそれを冷たく引き裂いた。フランドールが咲夜を殺した。咲夜が倒れている。私は駆け寄り咲夜を介抱した。
 フランドールのことは好きだった。大好きだった。これまで幽閉したのも妹の為だった。だけどそれは間違いで、もっと外で出してあげるべきだったのかもしれないと、最近思い始めた。霊夢魔理沙のおかげだ。もっとちゃんと育てるべきだった…。


 やだ!やだよ…!まだ、生きられるよ…死なないで、咲夜…ッ…。咲夜!咲夜!咲夜………!!!
 掠れた声で咲夜はこう言った。
「お嬢様…一つだけ、お願いがあり…ます…フラン、ドールお、嬢様の…ことを――殺してください。
 聞き取りにくかったが、恐らくそう言ったのだ。それを最期に、咲夜は動かなくなった。


 ――ああああああああぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁあああああ!!!!!!!!!!
 許さない。もう妹だとは思わない。フランドールは、殺すべき存在だ。
 許さない。
 ゆるさない。
 ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない殺してやる殺してやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやる
 それだけが思考を染めきった。私はフランドールに斬りかかって、それ以降は覚えていない。





 私はフランドールと相討ちになって、共に倒れた。




*******

***-咲夜-****

 お嬢様は、私を嫌いになってしまったのか?
 そんな想いが最近毎日心の中を漂い続けている。そんなことはない。お嬢様は私のことが大好きなんだ――そう信じられれば良かったのに。
 ある時、早苗がやってきた。そう…霊夢の勘は当たったのね。さすがだわ。早苗はこれから神様を元に戻すために信仰を集めなければならない。彼女も大変なのだ――。私だって、お嬢様とのギクシャクを元に戻すんだ。頑張ろう!
 その後紅茶を持っていったら、お嬢様に冷たくあしらわれた。五年前に比べてお嬢様は私を呼んだり、話しかけることが極端に少なくなってしまった。少しでも話そうとすがったが、お嬢様はあっけなくそれを一蹴した。少し震えているのはどうしてなのですか?嘲笑を堪えているのですか?そんなはずないのに――少しばかり卑屈になっていたようだった。
 部屋を出ると、フランドールお嬢様に話しかけられた。フランドールお嬢様のお部屋へと移動をし、お話を聞くことにした。フランドールお嬢様は、レミリアお嬢様と仲良くなりたい。ただそれだけを願っていた。それなら、私は邪魔ものなのではないのか?
「咲夜、お姉さまは咲夜にいなくなってほしいなんて思ってないはずよ。ありえない。あっちゃいけないのよ」
 フランドールお嬢様がそう言う。私だってそう信じたかった。でも、もう考える必要なんかないんだ。

 私――邪魔者は自殺して、レミリアお嬢様とフランドールお嬢様の仲を良くしよう。

 すぐさま自前のナイフを取り出し、全身を斬りつけた。それを見たフランドールお嬢様は大きく驚愕して、止めようとした。
「来ないでください!!これは、あなた方お二人のお嬢様の為なのです…!」
 私の言葉を聞いたフランドールお嬢様は、その場に立ち尽くした。それを確認した私は、壁に横たわって、遺書を遺そうとした。しかし、身体が動かない。ああ――さすがに早とちりしちゃったかな…私みたいな邪魔者が死ぬなんて、いつでも良かったのに――。ならば、せめて言葉で伝えよう。私は力を振り絞って弾幕を出し、それを壁にぶつけて轟音を鳴らした。すぐにレミリアお嬢様たちがやってきた。
 レミリアお嬢様は私を介抱してくださった。その間、念願ともいえるお嬢様とのまともな会話をようやくできた。それだけでもう満足だった。
 最期に、一つだけ重要なことを伝えよう…。
「お嬢様…一つだけ、お願いがあり…ます…フラン、ドールお、嬢様の…ことを――愛してください。
 伝わってくれたかな…もう、意識が無くなってきた…。





 あとは――二人お幸せに。レミリアお嬢様、フランドールお嬢様――




*******


 眼が覚めると、紅魔館近くの森だった。レミリアとフランドールの闘いの末の爆発に巻き込まれて早苗は意識を失っていたようだった。
 紅魔館へ再び訪れると、早苗の奇跡は効き目十分だったようで館は無事だった。しかし――主はそこにいない。門の前で立っていると、パチュリーが館へ入るよう促した。早苗は館へ入り、パチュリーの話を聞いた。
「…主無き館となってしまったわ。あの闘いを止められれば良かったのに…被害がこれだけになっただけ、不幸中の幸いと言うのかしら…。あなたのおかげね、ありがとう。レミィなら、お礼として信仰をするかもしれない…だから、あなたの神社の信仰をするわ。私たちは、レミィたちがいなくともこの館で生活し続ける。でも、これからあまり私たちには関わらないでほしいの…お願い」
 その話だけを聞いて、早苗は何も言わずにただ頷いた。信仰は得られたはずなのに、喜びは感じなかった。あんな惨劇を見れば当然であるか――。早苗は、理由こそ聞かされなかったが姉妹同士の殺し合いなど馬鹿げてると思って止めようとしたのだ。しかし足が震えて動けなかった。悔しかった。止めようと、救おうとしたのは早苗のエゴかもしれない。それでも私は……止めたかったんです。
 門の前に出ると、美鈴が門番をしていた。それを見た瞬間、とてつもない威圧感を感じた。言葉は発していなかったが、覚悟が一層強まっているような気がした。これなら、近寄るものもほとんどいないであろう。
 私もまた、目標のために次の場所へと移動しなければ。それにしても、八雲紫…。五年前合った時とは雰囲気がまるで違っていた。昨日は思わず臨戦態勢を取ってしまったが、何か理由があるのだろうか?分からないが、とにかく行こう。
 早苗が歩き始めようと哀れな三人の住んでいた館を背にするが、その瞬間に背後の門番が一言呟いた。
「…フランドールお嬢様の遺品が見つかっていない」
 その言葉に早苗は振り返り、美鈴を見た。その顔は、帽子が影になってよく見えない。
「身体は消滅したけど、遺品――フランドールお嬢様がお使いになっていた物が、綺麗さっぱり無くなっていた。レミリアお嬢様の遺品はあったのに…」
 なんだと…どういうことだ?すると美鈴は顔をあげて、真正面から早苗を見た。微かに涙目になっていたが、泣かないように堪えているように見えた。
「早苗…これは何か裏があるかもしれないわ…気をつけて」
 その美鈴の言葉に早苗はもう一度頷くと、今度こそ館に背を向けて歩き出した。


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 紅の深淵に、堕ちゆくスカーレット。幼い愛が、身を蝕む――……


To be continued…


あとがき
第二章終わりました。次回からは第三章になります。さて、どうなるのか…。
あと、もっとペース早めないと長い時間かかる可能性があるので頑張ります…。
余談ですが上の絵の後にある詩っぽいのは亡き王女の為のセプテットのサビと合わせて歌えます。
それではまたいつか。

病気について。

こんばんは。くわないです。

二ヶ月前に自宅で倒れた話をしましたね。昨日検査に行って来ました。

検査の結果、「若年性ミオクロニーてんかん」だということが分かりました。

うちの兄ちゃんと同じ病気らしくて、すぐ薬等の対応を貰えました。

薬飲めばすっかり元気!幸せスパイラルですよ~

ナルコレプシーなら面白かったのに。いや症状的にありえないことは分かってたけど。リトバスのやりすぎか。

放送などもいつでも再開出来ますね。ただ今はやりませんけど。

また何かあったら更新しますね。とりあえずは小説ばかりになるかと思いますが。

それでは。

【東方小説】東方刻奇跡 10話「妖しく紅く。」

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「お姉さま、そんなに睨まないでよ。だってお姉さま、もう終わりなんだよ?」
 そのフランドールの言葉にレミリアは周囲を見回した。レミリアの周囲には囲むように弾が出現していた。――禁忌「カゴメカゴメ」――それを見ても焦り一つ表情に出さなかったレミリアは、姿を霧と変え弾の牢獄から難なく抜け出した。
「フランドール…あなたは吸血鬼の能力をしっかりと覚えているのかしら?…いや、もうそれもどうでもいい。咲夜を殺した罪は…死んで償ってもらう!」
 右手をフランドールに向けて突き出すと、凄まじい勢いで弾幕を一列に繰り出した。――紅符「スカーレットシュート」――



 早苗は、それをただ眺めることしか出来なかった。
 目の前で哀れな闘いが繰り広げられているというのに、止めることすらままならなかった。何故なら、これは弾幕勝負でも遊びでもなんでもない。明確な殺し合いなのだから。
 おかしいな…こんなことも覚悟してこの世界にやってきたというのに。身体が震えて仕方が無い。目の前の残酷さが受け入れられない。早苗は自らを嘲笑した。こんなんじゃ――神奈子様と諏訪子様に笑われちゃうな…。覚悟を、決めないと…。
 そうして早苗は動こうとすると、パチュリーが制した。
「無駄よ、あの二人の本気の闘いに介入しようとしているのなら。…わざわざ向かっても無駄死にするだけ…。特に、あなたみたいな目標を持った人ならば、ここで倒れている場合じゃないでしょう。一時の感情に身を任せても後悔するだけ――忠告はしたわ。後はあなた次第」
 忠告を受けて、早苗は下唇を噛み締めた。自分を選ぶか、他人を選ぶか…人の心にとって究極の選択…それなら!
 早苗は奇跡の詠唱をし、紅魔館全体を淡い光で包んだ。こうすれば、どれだけの力がぶつかろうともこの館は壊れない。それを見たパチュリーが眼を瞠った。
「こうするだけでも…また違ってくるでしょう?」
 そんなパチュリーを見ながら笑顔で早苗はそう言った。


***-フランドール-****


 ああ、どうしてこうなっちゃったんだろう。
 フランドールは、偽りの狂気をさらけ出しながら心の隅でそう思った。
 咲夜が自殺して――何でなのかはわからない――立ち尽くしていたら、お姉さまが私に向かって怒ってる。なんで?なんで?なんで?咲夜を殺したのは私じゃない。誤解なんだよ。違うんだよ、お姉さま。そう弁解しようとしたら、考えが浮かんだ。咲夜はお姉さまに捨てられたみたいな言い方をしていた…だから自殺したのではないか?二人は昔からとっても仲がよくて…羨ましくて。私もその中に混ざりたくて…。
 咲夜の強い忠誠心は変わらなかったのに、どうして捨てるみたいなことをしたの?それじゃ、咲夜が可哀想。…咲夜の為に、お姉さまを叱らなきゃ。そうして私は口を開いた。
『アハハハハハハ!!ハハハハハハハハ!!!馬鹿みたい!お姉さま!たかが従者が殺されたくらいでそんなに怒るなんて!!』
 ――え?待ってよ。私はこんな事をいいたいんじゃないんだよ。お姉さまを落ち着かせて、それから咲夜の気持ちをしっかりと話してあげるんだよ。そう思っても、言葉は全く正反対の事を発し続けた。ああ、そうか。今までお姉さまと全然仲良く出来なかったから、その溜まり続けた憤りが頭をかき混ぜてるんだ…自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。

 もう、いいや。考えるのはやめて、このまま流れに身を任せよう…。

 カゴメカゴメを抜け出したお姉さまが私に向かって攻撃してくる。これはスカーレットシュートか。私は禁忌「カタディオブトリック」を使って弾幕を相殺させた。似てるね、このスペルカード。姉妹だから当然か。対立して使うことになるとは思ってもいなかったよ。
 お姉さまがスペルカードを万遍無く駆使して攻撃してくる――神罰「幼きデーモンロード」――獄符「千本の針の山」――神術「吸血鬼幻想」――紅符「スカーレットマイスタ」――いっぱい、いっぱい。私も絶えずスペルカードを出す。身体が勝手に動いているんだ。
 禁忌「スターボウブレイク」――虹色、綺麗だね。この光を三人で見たかった。
 禁忌「レーヴァテイン」――お姉さまはその光を避けていくけど、私はお姉さまの死角を突いて弾幕を放った。それをお姉さまはグングニルで弾いて私に襲い掛かった。急いで避けようとしたけど、お腹の辺りに痛みが走った。見ると、左片方のわき腹に傷が付いていた。痛い。痛い。
 禁忌「恋の迷路」――迷路、か。私は既に迷路に迷って手遅れなのかもしれないな…姉妹の仲という迷路に。
 禁忌「過去を刻む時計」――この名前、咲夜を思い出すな。時計は針を止められないんだよ…やり直せないんだよ。なんて、こんな名前つけたの私なんだけどね…。
 禁忌「そして誰もいなくなるか?」――いなくなっちゃ、駄目なんだよ。この破壊の力さえ使わなければ…ずっと一緒なんだ。

「禁忌…「フォーオブアカインド」ッ!」
 私は四人に分裂し、激しい弾幕を放った。お姉さまはそれをかわし、当たりを繰り返していた。その途中お姉さまはスペルカードを放った。
「全て消え去れ…スカーレットディスティニーッ!!」
 速く、濃い弾幕がお姉さまを中心に放たれていく。速過ぎて追いつけない。分身がかき消え、私は吹き飛ばされた。

 とても、時間が長く経った気がする。夜ってこんなに長かったっけ。
 気が付いたら、私とお姉さまの身体は傷だらけで、息も絶え絶えだった。もしも、二人が跡形も無くなるほどになれば…一緒に逝けるのか。咲夜に会えるんだ。
「一緒に逝こう…お姉さま」
 私はQED「495年の波紋」を繰り出した。お姉さまは「紅色の幻想郷」。
 この波紋は、一体何を表して作ったのか…今ではもうどうでもいい。苦しみだったかもしれない。そのぶつかり合う激しい弾幕の中で、私は手にレーヴァテインを出してお姉さまに向かっていった。それに対抗しようと、お姉さまはグングニルを出した。
 これで最後だよ。あれ、視界が歪んでくる…どうして?
 光と光がぶつかり合い、私とお姉さまは光に包まれた。






  お姉さま、咲夜に会って、ゆっくりと話そう。今からでも遅くないよ――ね?お姉さま…




*******



 光に包まれる瞬間に流れた、フランドールの一筋の涙にレミリアは気づくことはなかった。




To be continued…


あとがき
紅魔館編クライマックスでした。なんか改行とか色々多かったけど大丈夫かな、ちゃんと読みやすくなってるかな。
しかし前作の最終話を軽く突破するのか今回は…まだまだ序盤だぞ。何話かは未定ですけど。
次回で第二章「紅の深淵に」終了です。
それではまた来週。

【東方小説】東方刻奇跡 9話「明確な殺意」

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 何が起こってるのか全く分からない。何故咲夜が殺されている?咲夜は簡単に殺されるほど弱くはない。まさかとは思うが、そこにいるフランドールがやったのか?だったら何故?――レミリアと咲夜がギクシャクしているのと何か関係があるのだろうか…?
 様々な推測が早苗の中で交差する。しかし、分からない。分かるはずがなかった。早苗は紅魔館の者のことをほとんど知らない部外者なのだから。
 騒ぎを聞き付けたパチュリーと美鈴がやってきた。そして間もなく、絶句した。
「これは…ッ」
 パチュリーが声を上げると、早苗の隣で呆然としていたレミリアがゆっくりと動き出す。そして壁によりかかって脱力している咲夜を抱きかかえた。あまり体温を感じなかったのだろうか、レミリアは少し身体を強張らせた。
「咲夜…?ねえ、何があったの…?いなくなっちゃ嫌よ…!!」
 今にも泣き出しそうなレミリアのその消えそうな声に、咲夜は反応し、ゆっくりと瞳を開いた。
「お嬢…様…」
 咲夜がまだ生きていることに気付くと、手に力を込めた。
「咲夜…!今、『あなたがここで死ぬ』運命を操るわ!だから待っていて!」
 そう焦りながら喋るレミリアを、咲夜がゆっくりと制した。レミリアが疑問と焦りが混ざったような表情を浮かべる。
「いいんですよ…お嬢様。私は、いずれ死ぬ運命…ここで避けてもやがては…。それに、私はもうお嬢様にとって必要のない存在…ですから」
 それを聞いたレミリアは、必死に、悲痛に喚く。しかし咲夜はそれを聞かずに、今にも消え入りそうな声で言葉を発し続けた。
「お嬢様…一つだけ、お願いがあり…ます…フラン、ドールお、嬢様の…ことを――」
 それ以降は早苗の耳には届かなかった。レミリアには届いたのだろうか。

 言葉をなんとか言い終えた咲夜は今度こそ眼を閉じ、それが二度と開くことはなかった。

「咲夜…ッ!――あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 感極まって、紅の吸血鬼は涙する。悲痛に叫ぶ。

 しかし残ったのは、残酷な残響。そして静寂。

 それがまた、レミリアに親愛なる従者が死んだという真実を思い知らせた。







 そして――






 しばらくしてレミリアの涙は枯れ果てた。

 抱きかかえていた咲夜をゆっくり横たわらせた後、立ち上がった。

 その瞬間、レミリアの身体を紅い気圧が包んだ。いや――これは力か。

 レミリアは首だけを動かし、紅く輝く憎悪の瞳で斜め後ろに立ち尽くしていたフランドールを睨みつけた。
「フランドール…貴様ァアッ!!!」
 そしてグングニルを手に掴み、フランドールに向かって駆けた。グングニルがフランドールに当たる――と思った瞬間に、レミリアとフランドールの間が光り輝く。早苗はその光に眼を瞑った。
 光が収まり、眼を開くとグングニルをフランドールが受け止めていた。
 咲夜はさっき、「フランドールお嬢様のことを殺してください」とでも言ったのだろうか?そうでもなければ、あんな憎悪の瞳を向けるはずがない。
 そんな事を考えていると、フランドールは突然笑い出した。
「アハハハハハハ!!ハハハハハハハハ!!!馬鹿みたい!お姉さま!たかが従者が殺されたくらいでそんなに怒るなんて!!」
 フランドールのその言葉に、その場にいる全員が眼を瞠った。フランドールが咲夜を殺したというのは、確定的だった。
 確定的――なのか?
「そんなに怒るならさぁ!一緒に咲夜の所に逝かせてあげるよ!!嬉しいよねお姉さまァア!!」
 フランドールのその言葉に、レミリアは更に怒りの表情を露わにした。早苗は、その声が微かに震えているような気がした。
 レミリアは大きく羽ばたいて、天井を突き抜けていった。そして屋敷の上空まで躍り出た。フランドールもそれに続く。急いで早苗たちも外へ出た。
 そして外へ出ると、レミリアが言葉を発していた。
「…してやる…殺してやる!!貴様だけは!絶対に許さない!」
 そのレミリアの言葉にフランドールは面白おかしそうに笑うと、レミリアの眼を見て告げた。
「ふふっ…お姉さま…私のこの破滅の力に…果たして滅びずにいられるかしらッ!?
 それを聞いたレミリアは大きく叫んだ。
「破滅の力?滅ぶ?…――そんな運命、私が否定してやる!!
 叫び終えると、フランドールが目の前から消えた。それを見たレミリアは周囲を模索する。すると、よく聞いたことのあるが響くように、だが静かに聞こえた。



――――――かーごめーかーごめー…かーごのなーかのとーりーはー…



――――――いーつーいーつーでーやーるー…





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「――後ろの正面だーあれッ!!
 闇に紛れてレミリアの背後に回っていたフランドールは、歌を歌い終えた瞬間にレミリアに攻撃した。

 レミリアはそれをあっさり受け止めると、ゆっくりと振り向いた。
「…言ったはずよ。絶 対 に 許 さ な い と 。」



 そして、残酷な闘いは幕を開けた――。



To be continued…



あとがき
ついこないだまで更新少なすぎたのでこれからは週一更新を心がけようと思います。
つか小説ばっかだなこのブログ…まあいいけど。

【東方小説】東方刻奇跡 8話「すれ違い」

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 紅魔館の門前。こうして見ると、本当に大きな館だ。一体どうやってこんな館を幻想郷まで運んできたのだろうか、さすがに知る気にはならなかった。
 正門を見ると、門番の美鈴が眠っていた。…まあ、こんな夜遅くなのだから、眠くても仕方が無い。眠っているところ悪いが、起きて案内をしてもらわなければ。早苗は美鈴を起こすと、誰か館の人を呼んでもらった。
 しばらく待つと、咲夜がやってきた。咲夜は早苗を見ると少し驚き、そして安心したように見えた。
「…なんですか?」
 と言ってから気が付いた。そうか。早苗にとってはつい最近のように思えても、実際は五年前。それに姿も幼児化していたのだから、咲夜が驚くのも無理はない。
 逆にこちらから見ると、咲夜はこの五年間でかなり成長したように見える。魔理沙も確かに成長していたが目立つ程ではなかった。
「いえ、なんというか…元に戻っていたみたいで安心したわ。さあ、夜は短いのだから、早く中へ入りなさい。用件はお嬢様が聞くわ」


 豪勢な部屋に、大きく長方形の形をしたテーブル。いつ見ても豪華な屋敷だ。椅子にこしかけた早苗は、自分とは反対側に座っているレミリアを見た。レミリアは頬杖をつきながら告げた。
「…つい最近まで小さかったのに、もう戻ったの?つまらないわね」
「やめてくださいよ。こっちは大変なんですから…」
 そう早苗が言い返すと、レミリアはくっくと笑った。
「冗談よ。守矢の状態は噂で聞いているわ。あんな話を聞いて無駄に無下にする者はそういない」
 その言葉を聞いて、早苗は心の中で安心し、喜んだ。
「なら、守矢に信仰してくれるんですか!?」
 次の瞬間、レミリアに眼で威圧された。思わず飛び下がりそうになった。
「ふざけるな。無下にしないとは言ったが、協力などもしない。同情で人間に協力する程私は甘くないわ」
 そう言われて、早苗は少し縮こまった。すると、咲夜が紅茶を置いてくれた。軽く会釈して、早苗はティーカップを持って紅茶を飲んだ。わぁおいしい。
 咲夜が少し移動してレミリアのほうに紅茶を置いた。するとレミリアは少し動揺した。
「さ、咲夜……あ、紅茶、ありがとう……」
 急にレミリアの言葉がぎこちなくなった。早苗はその様子に首を傾げた。一体なんだというのだ?
「……ありがとうございます」
「後は、…下がっていいわよ」
 レミリアにそう言われて、咲夜は少し焦ったようだった。
「し、しかし…!」
「用がで、出来たら!…もう一度、呼ぶから…部屋でゆっくりしていなさい」
 咲夜は名残惜しそうにした後、少し悲しい瞳をしながら部屋から出て行った。
 おかしい。五年前会った時はこんなにぎこちない雰囲気ではなかったはずだ。もっと主人と従者らしさが出ていたような気がするが…?考えても何も始まらなかった。








 部屋を出た咲夜は、少し元気が無くなっていた。――私は、お嬢様に嫌われてしまったのだろうか。不安になる。不安で胸がいっぱいだ。
 そこに、フランドールが現れた。
「咲夜…ちょっと、話したいことがあるの」


 紅魔館の地下にあるフランドールの部屋。そこに咲夜とフランドールはいた。
「話とはなんでしょうか?フランドールお嬢様」
 フランドールは、ベッドに腰掛けて、少し寂しそうな声で言った。
「お姉さまと、仲良くなるにはどうしたらいいのかな…。仲良くなろうと思って何年も頑張ってるのに、ちゃんと話せない…。いつも喧嘩とかあまり会話が弾まなかったりするばかり。お姉さまは、私のことが嫌いなのかな…」
 切ない声でそう言われて、咲夜は少し悩んでからこう言った。
レミリアお嬢様の気持ちまでは私めにも分かりかねますが…きっと、レミリアお嬢様なりにフランドールお嬢様のことを想っているのですよ。むしろ、私のほうが…私なんて、いなくなってしまったほうが良いのかもしれません…」
「…?」



 場所は戻り、早苗とレミリア
「…とにかく、私は協力する気なんてないから、他を当たりなさい」
 レミリアがそう告げて、早苗はテーブルに突っ伏した。どうしよう…いきなり駄目だった。早く神奈子様と諏訪子様の為にも信仰を集めないといけないのに…。
 すると、大きな地響きと物音がした。
「何!?」
 最初に反応したのはレミリアだった。敵襲かもしれない…そう考えれば当然か。
 早苗はレミリアとともに物音がした部屋へ走り出した。地下…?地下といえば、フランドールとかいう悪魔の妹がいるんじゃなかったか…?
 部屋までたどり着くと、悪夢は起こった。





























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 咲夜の死体があった。…いや、まだ息がある。近くにはフランドールが虚ろな瞳で天井を見上げていた。
「…咲、夜?」
 レミリアが絶句した。もちろん、早苗も。
 こんな…こんな、ことが。






 楽園は既に、楽園では無くなっていた。



To be continued…


あとがき
挿絵、出来は微妙だけど色つきで入れてみました。
次いつ入れるかどうかはわからないけど、次からはもっと丁寧にやりたい。。。

それと、前作の「宵闇の狂気」を加筆修正して前編をpixivに投稿したので良かったらどうぞ。
pixiv「宵闇の狂気 前編」へ
それではまたいつか。