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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 12話「遠い日の思い出」

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 なんだか疲れた。香霖堂へ帰る前に少しだけ休憩しよう。早苗は紅魔館近くの湖に着くと、辺りにある木々の一つに座りかかった。
 早苗は昨日の闘いから今まで激しい狼狽や憔悴をしていたが、必死に抑えた。かつて神奈子に言われたことがあったからだ。
『早苗。これから行く世界は夢や魔法みたいなものがたくさん詰まっている。けれど、そんな世界だからこそ殺人や拷問…もっと残酷なことまで起こるかもしれない――でも、他人のそれを見て深く悲しむのは間違いよ。そんなのは親しい者だけで十分。悲しむよりも前に進むことが重要なのよ。覚悟しなさい』
 その言葉は嘘ではなかった。何故なら、五年前の出来事や昨日の出来事がそれを物語っているからだ。だから覚悟をしていたのに。早苗はあの時動けなかった。昨日の出来事でも――五年前の出来事でも。何も出来なかったのが本当に悔しかった。だがそれを悔やんでばかりでは、神奈子の言うことを守れない――。いつまでも悲しんでちゃ駄目だ。私は私の目標の為に、前に進もう…。




「・・・さなえちゃん!あそぼう?」
 これは何だろう。私は夢を見ているのか。幼稚園の教室の隅で座りながらぼんやりとしていた。とても小さい少女に手を差し伸べられていた。私の思考は、その夢の世界に染まりきった。
『うん!あそぼう!!なにしてあそぼっか?』
 わたしはそのてをとると、むじゃきにわらいたちあがった。このこは、おさななじみのこ。そうだ。わたしはようちえんのころからのだいじなおともだちがいた。いまは、どうしてるだろう。
 でも、おかしいな・・・。どうして、なまえがでてこないのかな。とっても、たいせつな、たいせつな、おともだちなのに。わたしはなにかだいじなことを――忘れている?
 夢の世界で考えている途中で私の意識は徐々に覚醒していった。




            第三章 氷の成長




「さ、さわいじゃだめだよ!チルノちゃん!」
 目覚めると、そんな声が聞こえた。どうやら眠っていたようだった。夢の内容は――なんだったか。なんだかとても大切なことだったような気がする。そんな早苗に気がつくと、目の前の妖精は早苗に少し顔を近づけた。
「大丈夫ですか?よほど疲れていたように見えますけど…」
 目の前にいる妖精――大妖精は、心配しながらそんな声を出してきた。後ろにいるほうの妖精は――チルノか。チルノはそんな大妖精を笑いながら、早苗を見た。
「あはははは!そんなとこで寝てるなんて、馬鹿じゃないのー?」
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 早苗はそのチルノを無視しながら立ち上がった。
「ごめんなさい、迷惑でしたか。すぐに帰りますから、またね」
 そして足早に立ち去った。正直言うと、あまり妖精には関わりたくない。あまり人のことは言えないが――問題の根源といわれているからだ。それに…昨日今日のことを早く魔理沙達に伝えるべきだと感じたからだ。走り去る途中に少しだけ振り返ると、二人の妖精は呆気を取られていた。なんだか申し訳なかったかな。





 翌日、香霖堂で休んでいた早苗は、これからどうするか考えていた。やはり無難に里へ行くのがベストだろうか…?
 ちなみに昨日のことを二人に伝えると、魔理沙は大きく悲しんでいた。霖之助はあまり悲しんだ様子ではなかったが…きっと、神奈子のように弁えがしっかり出来ているのだろう。羨ましいな…。
 そんなことを考えていると、突如地響きが起こった。その音に飛び起き、窓から外を眺めた。すると氷精の湖に大きな城が出来ていた。それを確認した早苗は香霖堂を飛び出した。





To be continued…


あとがき
はい。第三章です。次回は明日かあさってにしたいかなーと思っています。挿絵はつかないかもですが