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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 13話「妖精の戯れ」

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 早苗は、氷精の湖へたどり着くと、湖は氷で出来た城により埋まっていた。そういえば魔理沙達に一言言うのを忘れてしまっていたが、仕方が無い。とにかくこれは立派な異変だ。城の入り口付近に眼をやると、チルノと大妖精が城を見上げながら立ち尽くしていた。早苗は二人の元に駆け寄り、話しかけた。
「大丈夫ですか?何かあったんですか?」
 その早苗の声に二人は振り向くと、二人とも驚愕の表情を浮かべていた。しかし、個々それぞれに思うことが違っているようだ。チルノは目の前のことに驚いているように見えるが、大妖精は何か驚きながらも少し苦しそうにしていたように早苗は見えた。するとすぐにチルノが喋りだした。
「あのねあのね!!あたいが湖の奥のほうに何か光って見えるものがあると思って、潜ってそれに触ったらぼーーーんっ!!ってこのでっかいお城が出てきたの!!」
 ははあ…と早苗は思った。一言で要約するならば、チルノはこの湖の秘密を見つけたというわけだ。こんなことが何故今まで隠されていたのだろうか。紫あたりがなんとかしていたのではないだろうか。そんなことを考えながら、大妖精を見た。大妖精の表情は相変わらず曇ったままだった。何か知ってるのか――?
 思考に身を委ねていると、チルノが城の中へ入ろうとした。それを見た早苗が止めに声をかけようとしたが、それよりも先に大妖精が動いていた。
「チルノちゃんっ!!ここは危ない気がするよ!チルノちゃん一人じゃ…!」
 異様に焦った様子の大妖精がそういうが、チルノは首を横に振った。
「いや、行きたいんだ。なんかよくわかんないけど、たんきゅうしん?がくすぐられてるっていうべきなのかな?この気持ちは!どうしてもいきたいの!」
 それを聞いた大妖精が、しばらく考えた後に頷いた。
「…わかったよ、チルノちゃん。でも、私も一緒に行く」
「いいけど、なんか今日の大ちゃん変じゃない?それだけじゃなくて、凄く今更だけど、いつの間にかあたいの隣にいつもいたよね。いつから一緒なのかは思い出せないけど…」
 それを聞いた大妖精が下唇をかみ締めた。
「…それは、約束したからだよ…チルノちゃんと…そして…」
 そこまで言うと、大妖精はかぶりを振りチルノに進むよう促した。早苗は二人が進もうとするのをあわてて追いついた。
「私も行きます。もしかしたら異変かもしれません」
 異変、という言葉に大妖精は肩を震わせた。問いに対する返答は無かったが、暗黙の了解と早苗は解釈した。




 城の中も氷だらけ…まさに氷の城だった。その氷が光を反射しあって、眩しいようで、美しい。それに静かだ。異変だと思っていたから何かイレギュラーな物が――そもそも幻想郷においてのイレギュラーと外の世界に対するイレギュラーは解釈が全く違うのでもしかしたら幻想郷の住民にとってはいつも通りなものかもしれないが――いるかもしれない。
 ただただ進む。しかし、氷の飾りつけ、氷の絨毯、氷の扉、氷の壁、氷の床、氷の鎧、氷の柱、本当にそれだけだった。目の前にあるのは氷だけで、生き物は何もいなかった。生き物がいないとするならば、この城は一体なんなのだ――何のために作られたのだ?
 やがて玉座のようなところへたどり着いた。玉座を凝視すると、小さい光が見えた。
「あ…あの光…さっきも湖の奥で見た…なんだろ、あたい…あれが欲しい気がする…」
 すると虚ろな瞳のチルノが、その小さいな光へとゆっくりと足取りおぼつかないような状態で歩き出した。
「…ッ!!チルノちゃん、駄目ッ!!!」
 それを見た大妖精は大きく飛び出して身体ごとチルノを止めようと試みるが、チルノは大妖精を微塵も見ずに片手で弾いた。早苗は、すかさず動かんとした。事情はよく知らないが、もうこれまでのように繰り返したくはない――!!
 光に包まれかけているチルノの手を掴もうとした。触れた感触がある、このままどこかを掴んで――!
 早苗は光の中へ手を伸ばしていった。





To be continued…

あとがき
これからは一週間に何回かに出来ればいいのだけれど…挿絵が減っちゃうかなあ…頑張ります。