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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 20話「ぬえVS魔理沙」

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 香霖堂へ戻った早苗は、椅子に座ってベッドに横たわる霖之助を見ていた。ゲームが始まる前に魔理沙霖之助を介抱したので早苗にすることはない。強いていうならば――見張りか。と、そんなことを考えていると、視界の隅に影が。見ると、霖太郎がそこにいた。霖太郎は霖之助に駆け寄ると、ベッドに潜り込んだ。
「えへへ…おとーさん、あったかい……」
 そして霖之助に抱きついて、いつしか眠ってしまっていた。その様子を見ていると、私もうっかり眠ってしまいそうだ――だが、魔理沙に頼まれたのだ。油断するわけにはいかない。
 魔理沙さん、頑張って――。




***魔理沙****

 くそっ……なんでこんなことに……。なんでぬえは香霖を襲ったんだ。暇ならもっと別の奴を当たれよ。どうして香霖なんだ。やめてくれよ。でも――殺していないから、まだ大丈夫。このゲームに勝てばいい話なんだ。記憶を取り戻して元に戻して、それから……香霖に大切なことを伝えるんだ。きっと喜ぶよ、香霖も。
 それでも私は冷静になれずに、狼狽していた。まだぬえを疑っている。仕方ないだろう。大好きな人があんなことをされれば誰だって……。そして私はつい、談笑しているぬえと早苗に向かって怒鳴ってしまった。こっちは焦っているというのに……腹が立つ。負けるもんか。勝ってやる。絶対に。……ただ一つ心配があるとすれば……今の私の状態で全力を出せるのかどうかということだ。――いや、そんなことを考えている余裕はない。とにかく勝つんだ。
「早苗……香霖、任せたぜ」
 私がそう静かに告げると、早苗の顔が引き締まるのが見てとれた。早苗……本当に香霖を頼んだぞ。ぬえの掛け声とともに私は箒を全速力で飛ばした。――私も、もっと気楽に行くべきなのかもな――。
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(今回の挿絵適当で申し訳ない)



 しばらく進むと、そこは妖怪の山の麓だった。ここは面倒事を起こすと厄介なのだが――本当に仕掛けがあるのか?……と、浮かびながらそんなことを考えていると登山口のほうから小傘がやってきた。何か白い液体のようなものが入った大きなタライを抱えていて重そうだ。
「く……う、ん…しょっと……うらめし……や……っ」
 そしてゆっくり飛んだ。安定していなく、どこからどう見ても今にも零れそうだ。すると、同じく登山口のほうから白狼天狗が二、三人やってきた。なんか白い液体がこびりついている。
「に、逃がすか!よくも同胞を!!」
 その天狗たちはフラフラ、というか、生まれたての小鹿のような動きをしている。白い液体がこびりついているのと何か関係があるのだろうか?
「てへへ、ごめんなさ~い。にとりちゃんから貰ったこれ、重くてつい……わわっ」
 反省の色ゼロといった様子で小傘が喋っていたが、その途中でバランスを崩して白い液体がタライからドバドバ、と落ちた。そしてそれが白狼天狗たちに見事的中した。そのせいで白狼天狗は文字通り真っ白な物体になってしまった――いや、まあ白狼天狗だから元から白いと言われれば白いのだが。
「……あー……」
「――!!――――!!!」
 小傘が言葉を失うのが見てとれた。白狼天狗たちは言葉をまともに話せずになにやら悶えていた。というかあれじゃあ息が出来ないだろう。
「ごめんね!水を被ればその、「ちょうきょうりょくしゅんかんせっちゃくえきたいのり?」はとれるってにとりちゃんが言ってたから、頑張ってね!……じゃあ、行くよ~!ぎゃおー!障害物だぞ~!」
 今度は小傘はこちらを向いて液体のりを構えた。そうか。あれはのりだったのか。香霖のとこで見たことがある。大抵のものならくっつけてしまうものだって。それに河童が何かして強力なものになったんだろう。それでさっきの白狼天狗は動きにくそうにしていたのか――身体がくっついて動かないから。口ぶりからして、登山口の奥のほうではもっと別の白狼天狗がやられているようだった。
 そんなことを考えてる内に、小傘は転んで下半身がのりによって固定されていた。
「わあああ!やっちゃった!!誰か、誰か水~!」
 ………………。
 これまでの経緯を静かに見ていた私とぬえは、小傘をスルーして登山口の中へと入っていった。
「あああああああ!!ひどいー!!」
 小傘の泣き混じりの声を背に、奥へと進んでいった。予想通り、白狼天狗が何人かのりによって地に這いつくばることを強制されていた。
 これあとでなんかされるんじゃないのか……。





 それから私とぬえはまた全速力で駆け抜けた。少し燃えてきたぞ。すると目の前には大きな滝がそびえ立っていた。そうか、この先は守矢神社か。少し気が進まないな……。そういえばあれ以降早苗はここに来ていないんじゃないか。一度調べてみるのも悪くないと思うが……後で言っておこう。とにかくゲームの順路は守矢神社の上を通り過ぎるだけだから良しとしよう。
 滝を上ろうとすると、突然地響きが起こった。そしてどこからか水の音が聞こえる。これはなんだ……?






To be continued…


あとがき
ギャグ考えるのやっぱり苦手です