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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 15話「記憶は深海の如く」

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***-チルノ-****

 思い出した。全てを。あたいは、いや――は本当は――……




 緑色の巫女に出会って翌日、『あたい』はいつもの通り大ちゃんと遊んでいた。すると湖の奥深くに何か光るものが見えた気がした。
「大ちゃん…あれなんだろ?」
 『あたい』がそういってから大ちゃんにその光を見せると、大ちゃんは身体を大きく硬直させた。不思議に思った『あたい』は、湖に潜ろうとした。大ちゃんは『あたい』を止めようとしたけれど、『あたい』は好奇心で胸がいっぱいになっていて、その言葉など届くはずもなかった。今なら言える、大ちゃんは自分が遠まわしに私のお母さんを殺したっていう事実を隠したかったんだよね。
 それから『あたい』は湖に潜ってその光へと進んでいった。そうして光に触れると、結界が崩れ去って深く沈んでいた城が浮き彫りになった。思えば、その光は最初からあったものなのだ。『あたい』――私を導くために――お母さんが遺したもの。だって、前からスキマ妖怪とかが触ろうとしてたけれど、結界のおかげでこの城は何も無かった。
 その後すぐに緑色の巫女がやってきた。ついでに緑色の巫女も連れて城の中へ入っていった。久しぶりに見た中は――何十、何百年前だか忘れたが――変わっていなかった。だが静かだ。氷の兵士などがたくさんいて、にぎわっていたものだが…皆いなくなってしまっていた。胸が苦しくなる。もちろん、城を歩いている時――『あたい』――はまだ妖精だったから感慨も何も無かったのだが…記憶を取り戻して初めて苦しさを味わった。
 そうして奥へ奥へと進んでいくと、やがてかつてお母さんが座っていた玉座の間に辿り着いた。『あたい』は、そこにあった光にまっすぐ進んでいった。
 この光は結界の光と似てはいるが中身が違う。これは――『あたい』を私に戻すためにお母さんが遺した力。この光は『あたい』を自然に導いていた。何故今更になってその効果が現れるようになったのかは解らない。だが、そんなことはどうでもいい。その光に触れると眩い輝きが辺りを包んだ。すると緑色の巫女が『あたい』――私?――に手を伸ばしてきた。その瞬間、光と風が大きくなり、緑色の巫女を吹き飛ばした。その光と風はまるで共鳴しあい、それとともに私の中へ力が満ちてきた。記憶と力を取り戻し――妖精であった『あたい』はいなくなり、妖怪である私が生まれた。





 そして全てを理解した。辺りの光が収まり、自分の姿が変貌していることが確認できた。そして私は憎しみの心を胸に大妖精へと向かっていった。
 最早私の性格と記憶と想いの強さは、妖精であった頃よりも妖怪であった頃のほうが勝っていた。


 あ、あは、あははははは。妖精だった頃が長かったから、力が物凄く溢れてくるように思えるよ。これなら負けない…。待っててね、お母さん。色んな人にお母さんの恨みを晴らしてあげるから――
 最初にまずは大妖精だ。






To be continued…


あとがき
今年中にチルノ編終わらせたかったんですが冬休みが思ったより忙しくて厳しいです…冬休み終わるまでにはなんとか終わらせたい…。