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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 14話「隠蔽の目覚め」

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 眩い光に早苗は眼を細めながら、その中にいるチルノの存在を確認した。彼女は磔にされているように十字の体勢をしながら何やら苦しみもがいているようだった。
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 するとチルノは大きく眼を見開いた。瞬間、唐突に光の輝きが増し、激しい爆風が襲ってきた。早苗はそれに抗うことすら許されず、光の外へと追い出された。
 なんだ、今のは――!?
 床に叩きつけられた早苗は困惑しながらゆっくりと立ち上がった。横を見ると大妖精が光を見て立ち尽くしているのが見えた。光は、風と重なりあって共鳴しあっているように見えた。まるで、チルノに何かを響かせているかのように。
 やがてそれは収まり、チルノの姿をこの眼にはっきりと焼き付けることが出来た。その姿は――違う。服装こそは同じでも、瞳の模様が大きく変わり、背中の羽が小さい翼を模したような形になっているのが見てとれた。これは妖精というよりは――…だが、そんなことが有り得るのか。
「あ…あ…ああ…っ」
 それを見た大妖精は、力を無くした者のように膝から崩れ落ちた。さっきから一体なんなんだ。何を知っている――?変貌を遂げたチルノは、真っ先にその大妖精を睨んで身構えた。
「あなたが…あなたがお母さんを…!!!」
 うああああああああああぁああぁ、とチルノは雄叫びを上げ、大妖精に向かっていった。大丈夫…さっきの奇跡が効果を表せば…!チルノは大妖精に向かっていく途中、力が抜けたように仰向けに倒れた。
 チルノは驚愕の表情を浮かべていた。何故か効果が出るのが早かったが、きっと詠唱がうまくいったのだ。早苗はさっきチルノに触れたときに微量の奇跡をチルノに使った。力を抑え込む奇跡だ。今のチルノの力量は解らないが、気休め程度にはなるだろう。チルノがもがいている隙に大妖精が気がついたらしく、距離をとった。早苗は大妖精の元へ近づくと、真っ先に疑問を口にした。
「あれは一体何ですか?」
 そう言われた大妖精は、少し抵抗した後にゆっくりと口を開いた。
「…あれは…妖怪です。チルノちゃんは、目覚めたんです。妖精という殻から。あの人の最期の力によって」
 その言葉に早苗は首を傾げた。言ってる意味が解らない。
「けじめをつけます。…いえ、つけなきゃいけないんです。これは私と、チルノちゃんと、あの人――氷の女王の因果なんです!」
 大妖精は手に力を込めると、まだ倒れているチルノを睨みつけて力強い声で言った。氷の女王――?そんなことはこの世界の歴史で聞いたことがない。今ここにいる氷の城と何か関係があるのだろうか。大妖精は深呼吸をすると、さっきとは裏腹に安らいだ声で早苗に話しかけた。
「…私はチルノちゃんの弱点を昔聞いたことがあります。私がそこを突いて――チルノちゃんを封印します。早苗さんはそれを手伝ってくれませんか?」
 その言葉に早苗は頷いた――が、途中の不穏な単語に眉をひそめた。
「封印?…いいのですか?」
 控えめに疑問を聞くと、大妖精は迷いなく頷いた。すると大きな音が鳴り響いた。チルノのほうを見ると少し息を切らしながらこちらを睨みつけていた。既に奇跡の効果は切れたようで、足に力を込めたのか床に大きな窪みが出来ていた。それを見た大妖精は身構えると、早苗に一言だけ言った。
「もうチルノちゃんを妖精にする方法はありません!弱点を突いて、永遠に封印するしかないんです!――………――今のチルノちゃんの力は未知数です!くれぐれも気をつけてください!」
 途中、何かを言いたげにしていたがそれを聞く余裕はなかった。チルノは早苗と大妖精の間に割って入ると、即興で作ったらしい氷の剣を縦に振るった。早苗と大妖精はそれぞれ反対方向へ飛び退り、早苗はサポートの奇跡の詠唱に入った。
 何か…今、大妖精さんの助けになるものは無いか…?!大丈夫、奇跡なのだから大抵のことは出来る。後は焦らないでいるだけ。…そうだ!
 早苗は防御の奇跡を大妖精に向けて放った。これでなんとかなるか…?後は臨機応変に対応していこう。――それと、あまり戦闘には割り込まないでおこう。これは三人?の問題なんだ。もちろん、大妖精さんが危険に晒されれば手助けをするが…それだけだ。
 仕方ない…仕方ないんだ。早苗はそう言い聞かせるしかなかった。




To be continued…