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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 8話「すれ違い」

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 紅魔館の門前。こうして見ると、本当に大きな館だ。一体どうやってこんな館を幻想郷まで運んできたのだろうか、さすがに知る気にはならなかった。
 正門を見ると、門番の美鈴が眠っていた。…まあ、こんな夜遅くなのだから、眠くても仕方が無い。眠っているところ悪いが、起きて案内をしてもらわなければ。早苗は美鈴を起こすと、誰か館の人を呼んでもらった。
 しばらく待つと、咲夜がやってきた。咲夜は早苗を見ると少し驚き、そして安心したように見えた。
「…なんですか?」
 と言ってから気が付いた。そうか。早苗にとってはつい最近のように思えても、実際は五年前。それに姿も幼児化していたのだから、咲夜が驚くのも無理はない。
 逆にこちらから見ると、咲夜はこの五年間でかなり成長したように見える。魔理沙も確かに成長していたが目立つ程ではなかった。
「いえ、なんというか…元に戻っていたみたいで安心したわ。さあ、夜は短いのだから、早く中へ入りなさい。用件はお嬢様が聞くわ」


 豪勢な部屋に、大きく長方形の形をしたテーブル。いつ見ても豪華な屋敷だ。椅子にこしかけた早苗は、自分とは反対側に座っているレミリアを見た。レミリアは頬杖をつきながら告げた。
「…つい最近まで小さかったのに、もう戻ったの?つまらないわね」
「やめてくださいよ。こっちは大変なんですから…」
 そう早苗が言い返すと、レミリアはくっくと笑った。
「冗談よ。守矢の状態は噂で聞いているわ。あんな話を聞いて無駄に無下にする者はそういない」
 その言葉を聞いて、早苗は心の中で安心し、喜んだ。
「なら、守矢に信仰してくれるんですか!?」
 次の瞬間、レミリアに眼で威圧された。思わず飛び下がりそうになった。
「ふざけるな。無下にしないとは言ったが、協力などもしない。同情で人間に協力する程私は甘くないわ」
 そう言われて、早苗は少し縮こまった。すると、咲夜が紅茶を置いてくれた。軽く会釈して、早苗はティーカップを持って紅茶を飲んだ。わぁおいしい。
 咲夜が少し移動してレミリアのほうに紅茶を置いた。するとレミリアは少し動揺した。
「さ、咲夜……あ、紅茶、ありがとう……」
 急にレミリアの言葉がぎこちなくなった。早苗はその様子に首を傾げた。一体なんだというのだ?
「……ありがとうございます」
「後は、…下がっていいわよ」
 レミリアにそう言われて、咲夜は少し焦ったようだった。
「し、しかし…!」
「用がで、出来たら!…もう一度、呼ぶから…部屋でゆっくりしていなさい」
 咲夜は名残惜しそうにした後、少し悲しい瞳をしながら部屋から出て行った。
 おかしい。五年前会った時はこんなにぎこちない雰囲気ではなかったはずだ。もっと主人と従者らしさが出ていたような気がするが…?考えても何も始まらなかった。








 部屋を出た咲夜は、少し元気が無くなっていた。――私は、お嬢様に嫌われてしまったのだろうか。不安になる。不安で胸がいっぱいだ。
 そこに、フランドールが現れた。
「咲夜…ちょっと、話したいことがあるの」


 紅魔館の地下にあるフランドールの部屋。そこに咲夜とフランドールはいた。
「話とはなんでしょうか?フランドールお嬢様」
 フランドールは、ベッドに腰掛けて、少し寂しそうな声で言った。
「お姉さまと、仲良くなるにはどうしたらいいのかな…。仲良くなろうと思って何年も頑張ってるのに、ちゃんと話せない…。いつも喧嘩とかあまり会話が弾まなかったりするばかり。お姉さまは、私のことが嫌いなのかな…」
 切ない声でそう言われて、咲夜は少し悩んでからこう言った。
レミリアお嬢様の気持ちまでは私めにも分かりかねますが…きっと、レミリアお嬢様なりにフランドールお嬢様のことを想っているのですよ。むしろ、私のほうが…私なんて、いなくなってしまったほうが良いのかもしれません…」
「…?」



 場所は戻り、早苗とレミリア
「…とにかく、私は協力する気なんてないから、他を当たりなさい」
 レミリアがそう告げて、早苗はテーブルに突っ伏した。どうしよう…いきなり駄目だった。早く神奈子様と諏訪子様の為にも信仰を集めないといけないのに…。
 すると、大きな地響きと物音がした。
「何!?」
 最初に反応したのはレミリアだった。敵襲かもしれない…そう考えれば当然か。
 早苗はレミリアとともに物音がした部屋へ走り出した。地下…?地下といえば、フランドールとかいう悪魔の妹がいるんじゃなかったか…?
 部屋までたどり着くと、悪夢は起こった。





























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 咲夜の死体があった。…いや、まだ息がある。近くにはフランドールが虚ろな瞳で天井を見上げていた。
「…咲、夜?」
 レミリアが絶句した。もちろん、早苗も。
 こんな…こんな、ことが。






 楽園は既に、楽園では無くなっていた。



To be continued…


あとがき
挿絵、出来は微妙だけど色つきで入れてみました。
次いつ入れるかどうかはわからないけど、次からはもっと丁寧にやりたい。。。

それと、前作の「宵闇の狂気」を加筆修正して前編をpixivに投稿したので良かったらどうぞ。
pixiv「宵闇の狂気 前編」へ
それではまたいつか。