毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 5話「早苗、恋を成就させる 後編」

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※注意※この話は魔理霖成分が強いです。苦手な方はご注意ください。












 魔理沙と早苗は、魔理沙が経営(?)しているという魔法商店へと入ってじっくり作戦を練ることにした。魔法商店に入るとともに早苗は驚嘆した。それもそのはず、部屋の散らかりようは眼も当てられない程ひどかったのだ。なんで掃除をしないんだこの人は――と早苗は呆れた。そんなことよりも、どうやって霖之助魔理沙に振り向かせるか、だ。あそこまで宣言してしまったのだ、やるしかない。早苗は魔理沙に適当に座ることを勧められると、椅子?らしきところに座った。そして二人はじっくりと話し合った。
 結果、いくつかの作戦を思いついたので、早速実行に移してみた。

 ①魔理沙が料理を振舞えば霖之助は振り向くこと間違いなし!・・・そもそも魔理沙に料理を作ることが出来なかった。強いて言うなら拾ったキノコをあげるくらい…そんなんじゃ駄目だ。
 ②色気で誘えばきっと成り行きで!・・・朴念仁である霖之助に効果などあるはずもなかった。魔理沙を見もせずに本を読んでばかりだった。ちなみにこの時魔理沙はどんな姿をしていたのかは想像にお任せする。
 ③昏睡(逆)レイプ!野獣と化した魔理…これは行動に移す前に却下。

 他にも色々試してみたのだが、どれも効果無し。というか、あの重度の朴念仁に振り向かせようということがむしろ無謀なのかもしれない。もう一度魔法商店に戻った魔理沙と早苗は、深くうなだれた。
「ううむ…駄目でしたね…一体どうしたらいいのでしょうか…」
 早苗は頭を抱えていると、魔理沙は急に立ち上がり外への扉へ向かった。それを見た早苗は疑問の声をあげた。すると魔理沙は早苗を振り向いて言った。
「…早苗、ありがとな。後は私一人で何とかしてみるんだぜ。大丈夫!弾幕はパワーだぜ!」
 それはあまり関係がない気がする。というか、口では元気を装っていても元気の無いことは普段の魔理沙と比較すれば明らかなことだった。早苗が声をかける前に魔理沙は勢いよく外へ飛び出していった。早苗はただ一人残されてしまった。仕方なく外へ出ると、早苗は大きく伸びをした。これからどうしようか――。このままただ守矢神社へ戻るのもなんだか嫌だなぁ…。
 そう考えていると、突如地響きが起こった。異変を感じた早苗は地響きの原因を探しに走り出した。探すのにそう時間はかからなかった。なんと、地面に転がっている魔理沙が下級妖怪に囲まれていたのだった。ここで早苗はまたも異変を感じた。普段の魔理沙ならあんな妖怪、なんでもないはずなのに。何故、何もしようとしない?何故、地面に倒れているのだ?その答えは、眼を凝らして魔理沙を見ればわかることだった。魔理沙は足を怪我していたのだった。恐らく、元気の無いまま箒に乗ったおかげで、油断して足をぶつけてしまったのだろう。
 ――って、冷静に分析してる暇はない。早く妖怪たちを退治して魔理沙さんの怪我を治さないと!早苗はスペルカードを用意すると、突然後ろから声をかけられた。
「早苗!君は妖怪たちを退治してくれ!僕は魔理沙を助ける!!」
 その声に振り向くとすぐに早苗の横を人間が横切っていった。あまりの速さに誰かは把握できなかったが、後ろ姿を見ると即座に理解できた。霖之助だった。霖之助は間を突いて魔理沙を救出すると、大きく離れ、魔理沙を寝かせた。すると、霖之助はこちらを向いて力強く頷いた。それはどういう意味を表しているのだろう。自分の大事な人を傷つけられかけて、怒りに満ちているのか――?解らないが、とにかく今は妖怪を退治することが最重要だ。早苗はスペルカードを用意し直して、一気に妖怪を片付けた。ふぅ、と一息ついた早苗は、霖之助のほうを向くと、なにやら二人が話していた。
「ありがとう、香霖…死んじゃうところだったぜ…」
 涙目の魔理沙に、霖之助は面白可笑しそうに微笑んだ。
「ふふ…そんな顔してそんなこと言うなんて、魔理沙らしくないよ…」
 そう霖之助に言われて、魔理沙は大きく眼を見開いた後、覚悟を決めたような瞳になった。
「こ、香霖…だ、大好きだ!大好き…大好きだから…だから、わ…私と、結婚してくれ…!」
 その言動を見て、ついに言いましたね魔理沙さん、と早苗は思った。霖之助は、突然の告白に少し驚いていたが、すぐにいつもの調子に戻ると、喋り始めた。
「…知ってたよ、魔理沙。今日一日、様子がおかしかったからね、そうじゃないかと思ってたんだ」
 それを聞いた早苗と魔理沙は驚嘆した。まさか気付いていたなんて…!あの朴念仁も隅に置けないなぁ…と考えるところだったが、『今日一日』と言っていた。それはつまり、早苗と魔理沙で色々やっていたことを差すのだろう。魔理沙はずっと前から好きだったというのに…やっぱり鈍い人は鈍いままなんですね、と早苗は微笑んだ。驚嘆したままの顔の魔理沙は、途端に顔を赤くして、霖之助のお腹に顔をうずめた。
「…ばか」
 魔理沙が一言呟いて、その場は収まった。こうして、晴れて魔理沙と香霖は恋人同士となったのだ。何がともあれ、本当に良かったと思う。諏訪子様と神奈子様がこの話を聞いたら、どう思うだろうなぁ…。そんなことを考えながら、早苗はゆっくりと守矢神社へと帰ることにした。








To be continued…