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毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】東方刻奇跡 4話「早苗、恋を成就させる 前編」

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※注意、この話は魔理霖成分が強いです。苦手な方はご注意ください※





 妖怪の山に存在する守矢神社。いつものように早苗は神社の前で掃除をしていた。落ち葉の掃除は大変である。そういえば、奇跡を起こして落ち葉を一気に片付けようとしたら、辺りに暴風が発生して落ち葉掃除どころじゃなくなってしまった時があった。後で神奈子様に怒られたっけ――と、いつだったか昔のことを思い出して、早苗はくすりと笑った。そうしていると、神社入り口の階段のほうから物音が聞こえ出した。一旦箒を置いて覗いてみると、魔理沙の姿があった。なんだかいつもと様子がおかしい。
「どうしたんですか?何か問題でもあったんですか?」
 そう早苗が問うと、魔理沙は驚いてもじもじし始めた。一体なんなのだろうと、早苗は首を傾げていると、魔理沙は顔を真っ赤にして叫んだ。
「じ…実はな、私…恋をしているんだっ!!!!」



 とりあえず魔理沙にはお茶の間に上がってもらって、じっくり話を聞くことにした。
 話の内容は至極単純、魔法の森に存在する香霖堂の店主である「森近霖之助」――魔理沙は「香霖」と呼んでいる――のことがずっと前から好きで、思い切って告白したいのだが、いざとなると恥ずかしくて仕方が無い、とのこと。普通の男性ならば想いに気づくであろうが、早苗は霖之助のことを知っていたので、その朴念仁さも把握している。あの人のことだ。どうせ長い話とかばかりして、魔理沙さんの気持ちには気付きもしないのだろう。しかし、いつもは躊躇い無く進んで行くのにこういう時に限って立ち止まるなんて、魔理沙さんも乙女だなぁ――と早苗は思い、吹き出してしまった。それを見た魔理沙が頬を膨らませ、顔をしかめた。
「な、なんだよ!私が恋をするのがそんなにおかしいっていうのか?」
 笑いを一旦収めて、早苗は魔理沙を見ながら告げた。
「いえ、そんなことはありませんよ。誰だって恋はすると思います。でも、何故わざわざ私たちのところまで来たのですか?そういう話なら、霖之助さんにも魔理沙さんにも近しい存在の霊夢さんに相談すればよかったじゃないですか」
 魔理沙は、しかめた顔をそのままにして、不機嫌そうに呟いた。
「…笑われたんだよ、『あんたが恋ねぇ…笑いが止まらないわ』だってさ」
 それを聞いた早苗は、納得してしまった。確かにあの人なら、そうやって皮肉めいたことを言いそうだ、と感じた。もちろん早苗は、そんな皮肉めいたことはしない。むしろ魔理沙の恋を成就させてあげたいと思った。そして早苗は立ち上がり、強く胸を叩いた。
「任せてください!必ず、魔理沙さんの恋を成就させてみせます!!」




「――と、いうわけで、どうしましょう!諏訪子様!神奈子様!!」
 二人の神様の前に早苗は正座で座り、元気よくそう言った。それを見た神奈子は呆れたように溜め息を吐いた。
「どうしましょうって…早苗、あんたねぇ…よくもまぁそんな無謀なことを簡単に承ってくれたじゃないか、ええ?」
 神奈子の言葉を聞いた早苗は縮こまった。
 確かに無謀である。この二人の神様が持つ能力は天や大地といった能力であり、恋などとは全く無関係だ。もちろん、それといった神徳も得られない。ならば自分の能力である奇跡を使えば良い話なのだが、そんな力で得た幸せを、魔理沙は本当に喜ぶだろうか?恐らく魔理沙は、本当に、純粋な気持ちを持った霖之助と恋人同士になりたいのであろう。それなのに能力を使おうとするのは失礼だ。
 そこまで考えて、早苗は自分の安直さに多少の自己嫌悪を覚えた。早苗は神奈子の膝にすがりついて、泣き出した。
「えーん!ごめんなさいー!!の○太くんみたいに簡単に決めちゃったごめんなさいー!!」
「のっ…早苗、頼むから私たちに分かる話をしてくれよ…」
 神奈子が困っていると、すがりつく早苗のことを諏訪子が横から覗いた。
「仕方ないよー早苗、私たちそういった神じゃないし…でも、早苗ならきっと大丈夫だよ!ほら、元気出して!」
 そういった諏訪子の元気付けもあって、なんとか早苗は立ち直れた。そうだ。魔理沙と約束したじゃないか。自分一人だけでも、なんとかしてみせる。そして早苗は元気よく神社から出て、歩みを進めていった。「頑張ってね~」「おみあげよろしくね~」などと、二人の神様が口々に言うので、振り返って軽く会釈をした。


「…最近、足りてないんじゃないの、神奈子。大丈夫なの?」
「ッ、うるさい。いちいち口を挟まないでくれ」
「…あっそう」










To be continued…