毅然とし、それとなく。

気まぐれでありつつ適当に書き記す。

【東方小説】宵闇の狂気 6話「古明地さとりの錯乱」

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地霊殿。幻想郷より遥かに広大な地底世界に存在する旧都、その中心部に位置する巨大な建物のことである。
旧地獄、つまり以前地獄だった場所の中心に建っている。名前とは裏腹に西洋風の外観であり、黒と赤のタイルで出来た床や、ステンドグラスの天窓が特徴。(ニコニコ大百科より抜粋)
ここの主―――古明地さとりの能力は、『心を読む程度の能力
古明地さとりの能力を恐れて妖怪は近寄らず、逆に言葉を話せない動物たちは彼女を慕って集まってきたため、
いまや地霊殿はペットたちが溢れかえる動物屋敷となっている。
「懐かしいわねー。異変以来かしら」
私は歩きながらしみじみと言った。
「そんなこと言ってないで早く行こうぜ。ルーミアを助けるんだ」
魔理沙の急かす声に私は耳を塞いだ。
「あーあーあー、分かってるわよ。行きましょう」

そうしてしばらく進むと、長方形の客間のような場所に出た。真ん中は大きめな四角いテーブルに、壁にはなにやら豪華な装飾がついている。なんの装飾かは、さっぱりわからない。
奥のほうで椅子に腰を下ろしながら優雅に紅茶を飲んでいるピンク色の髪の少女は、さっきも言った古明地さとり。たまたま地上に来ていたお燐に話をしたいことを伝えてもらっている。本当にいて良かった。何故なら、事前に言わないで行くとまた面倒なことになりかねないからだ。
「いらっしゃい、地霊殿へようこそ」
さとりが紅茶を差し出したので、私も椅子に腰を下ろし、紅茶を啜った。魔理沙、紫も後に続いた。
あらおいしい。

********

さて、どうなるかしらね…。
霊夢にここまで任せて来たけど、真実はどうなっているのか…。
誰にも伝えていない、私の推測がもし当たっているとするならばその時は―――。

********

さとりに事情を話すと、しばらく悩んだ後でゆっくりと頷いた。
「分かりました。そういうことならついて行きましょう。旧地獄にも手は及ばないとも考えられないし…」
その言葉を聞いた紫も頷いて言った。
「そうと決まれば、早く行くわよ」
と、みんなで移動しようとしたその時。
「私も、ついていっていい?」
私たちが入ってきた扉とは全く逆の位置にある扉が開かれて、出てきた人物にさとりは目を瞠った。
「こいし…?」
出てきたのは、さとりの妹である古明地こいしだった。彼女はさとりと同じ妖怪ではあるが、心を閉じてしまったため心を読めなくなり、代わりに無意識を手に入れた。
「久しぶりねぇこいし。無意識があるのに出てきて大丈夫なのかしら?」
私が少し冷やかすと、さとりはこっちを睨んできた。
「こいしが『意思』を見せているのです。尊重するべきですよ」
そのさとりの言葉を聞いて、私は頭を掻いた。
「あーはいはい。わかったわよ。こいしも連れて、早く行きましょう」




そうしてまたルーミアのいる場所へと戻った。
ルーミアは既に丸い形のした広範囲の禍々しい闇に覆われて、姿は確認できなかった。
「…かなりやばいことになってるぜ。さとり、心は読めるか?」
魔理沙がそういうと、さとりはサードアイをルーミアに向けた。
「闇が邪魔をして、時間がかかってしま…っ?!」
突如、さとりは脱力したかのように崩れ落ち、膝をついた。それを見た魔理沙は即座に駆け寄り肩をかけた。
「さとり!?ルーミアの心が読めたの!?」
私が詰め寄ってさとりを見ると、何かおぞましいものでも見たかのような表情を浮かべていた。
「ああッ…そんな、ことって…いや、それよりも、こんな…こんな感情…本当に…?ううう…」
錯乱している―――?一体何を見たっていうの―――?
そう考えていると、ルーミアを包む闇から手のようなものが数本。もちろん、闇で出来ているようだった。
このままじゃ当たる…!
そう思うと、不意にこいしがふらっ、と私たちとは全く違う場所へと動き始めた。すると、それに反応したように―――無意識に反応したか、それとも単純に狙いを変えただけか―――闇の手がこいしに向けられた。その攻撃をこいしはなんなく避けた。
「こいし…!よし、ルーミアは私とこいしが食い止めるから、霊夢と紫はさとりから話を聞いてくれ!」
魔理沙はそれだけ言うと、私に混乱したさとりを預けて、こいしの元へ走った。
それを見た私と紫は、頷きあって木の陰へさとりを移動し、寝かせた。すると、さとりは呟いた。
「…ルーミアは…もう…うううわああッ!!」
ルーミアは…?一体何が言いたかったのだろう。私と紫は、まずはさとりを落ち着かせることにした。





To be continued

あとがき
サブタイトルつけることにしました。
それに伴って、この回以前にもサブタイトルはつけます。いつになるかは分かりません。案外数分後かも。
ちなみに全体の構成は出来上がりました。あとは俺の文章力がうまく働いてくれれば…ぼくがんばるよ。
それではまたいつか。
さとりん可愛い。